第1章: 新たな世界への目覚め
「起きろ、健一！」五郎の厳しい声が神殿に響き渡る。
「起きるまで待ってればいいじゃん」チャーリーがぼそりと呟く。
健一が目を覚ますと、混乱が襲う。「あれ？でも、俺は死んだはずだった…」
三人は神殿の魔法陣の上に立っていた。
健一が手にした神の眼と指輪に気づき、思わず口にする。「これって、セーブポイントだったのか？」
「俺たちは死亡をトリガーにここに戻るのか」動揺を隠せない健一。
五郎は驚きを隠せず、「時間が巻き戻ってるみたいだ」と呟く。
チャーリーは九に敗れた無力さを認め、「もう、戦いたくないなあ」と酒を一気に飲んだ。
「そのうち、あちらさんの方から出向いて来ちまうからなんとか勝てるようにしないと」健一は表情を険しくした。
「だけど、どうやって強くなればいいんだ？」と五郎が疑問を呈する。
ウォーレンへと帰還し、町の入口で前回と同じようにレイスが待っていた。
「続きしよう…」とレイスが健一に囁きかけ、「もう夕暮れだ。まずは皆で飯を食おうぜ」と提案した。
皆が賛成する中、一行は港町の酒場へと向かった。肉料理や新鮮な魚料理が並ぶ中、健一と五郎は魚を食べられたことに感動し、美味しさに涙し、賞賛した。
酔っ払ったチャーリーは笑いながら、「この前食ったばかりだろうが」とぼやいた。
すると、健一は憤りを爆発させた。「九の野郎、俺のことをミンチにしやがって！」と怒りをぶつけた。
五郎は泣きながら、「引力や斥力、未来視などがチートすぎて勝てない」と酒を飲んだ。
結局、健一は諦めて酒を飲みながら、レイスに相談することを決意した。レイスは驚いたように、「何かあったの？」と尋ねた。
健一は九との戦闘の経緯をレイスに説明した。
レイスは静かに言った。「九の能力は引力と斥力、そして未来視、どれもチート過ぎる。しかし、どんな強力な能力にも何か弱点があるはずだ。」
五郎は考え込みながら応じた。「たしかに、神器を持つ者複数人を相手に圧倒するのは、何か仕掛けがあるに違いない。」
「何か力を増幅する仕掛けがあるとか？」健一が提案した。
すると、チャーリーが無造作に言った。「とりあえず、もう一つくらい神器を増やしたらいいんじゃないか？」そう言うと、酒を飲み干した。
酔っ払った健一が突然思い出したように言った。「前に海賊たちが真実の鏡を見つけたな。それ、使えるかな？」
チャーリーはふらふらと踊りながら答えた。「そんなのあったね。」
レイスは健一に胸を押し付けて言った。「西にある竜の巣に神器が祀られていて、ずっと竜がそれを守っていると聞いたよ。」
五郎は考え込んだ後、提案した。「ノルンにミアが乗ってきた戦艦があったが、あれには様々な武装が備えられているように見えた。あれも役立つんじゃないか？」
健一は決意を込めてまとめた。「まず、ここから船でノルンへ向かい、戦艦と真実の鏡を回収。そして戦艦で竜の巣へ向かう。」
チャーリーはアル中っぽく酒臭い息を吐きながら、不敵な笑みを浮かべた。「今度は海賊になるか。」もう目的を忘れている。
レイスは微笑みながら「私も一緒に行く」と言った。
「道中で九を倒す手段の情報収集も出来そうだな。」五郎は言った。
新たな決意と計画を胸に、彼らは次の目的地に向かう準備を始めた。
翌朝
レイスは裸で目覚め、窓から入る海風が心地よかった。隣で目を覚ます健一も同じようにその風を楽しんでいた。その時、ドアをノックする音が響き、驚いたレイスは布団に潜り込んだ。
「お客様、朝食を持ってまいりました。」
店員は魚料理とシャンパンをテーブルに置き、礼儀正しく一礼して退室した。
彼らが泊まっているのは船で一番高価な部屋だった。
もちろん、そんな金はないが、神の指輪の洗脳の力で支払いは済んでいることになっている。
レイスは魚料理を喜んで口に運び、健一もその様子を微笑ましく見ながらシャンパンを飲んだ。
一方、五郎とチャーリーは普通の部屋に泊まり、船内のバーでずっと酒を飲んでいた。
チャーリーはグラスを握りしめ、すっかり酔いが回っていた。
「なぁ、五郎…」チャーリーは酒臭い息を吐きながら呟いた。「健一は女が好きだろ。
俺は酒が好きだ。でもお前、一体何に喜び感じてるんだ？」
五郎はグラスを揺らしながら、微笑みを浮かべて答えた。「こうやって仲間と酒を飲んだり、旅をしたり、バカをやってるだけで楽しいんだよ。」
チャーリーは震える手でグラスを空にし、すぐに新しいボトルを開けようとした。
「友達いないもんな、お前」と、笑いながら言った。酒がなければ、手の震えは止まらない。
五郎は苦笑しながら返した。「お前も似たようなもんだろ。」
「そうかもな…」チャーリーはもう一度グラスを満たし、深く飲み干した。
「でも、酒がなきゃやってられねぇんだよ…」
その瞬間、彼らの笑い声が船内に響き渡った。
友情と冒険に満ちた朝が、再び始まろうとしていた。
