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第1章: 新たな世界への目覚め

意識を取り戻したドラゴンは、洗脳が解けたことに喜び、健一たちにお礼を言った。「洗脳を解いてくれてありがとう。」

「とりあえず、酒が飲みたい!」と不機嫌に騒ぐチャーリー。

「たしかに疲れたから、みんなで飲み直すか。」健一が提案すると、ドラゴンは意外そうな顔をしながらも笑顔で承諾した。
「それはいい考えだ。」

「話しやすいように人の姿になろう。」ドラゴンの姿はみるみる縮み、少年のような姿になった。

「お、おい、ドラゴンが少年になっちまった!」と健一が驚きの声を上げた。

「すごいな、こんなことができるなんて…」と五郎が呟いた。

「これは驚いたわ。」リリスも目を見張った。

5人でパブに戻り、酒を飲み始めた。改めて自己紹介をするドラゴン。「名前はゴン。よろしくな。」

健一は興味津々で尋ねた。「ゴン、誰に操られていたんだ?」

ゴンは答えた。「北の塔にいる集団が集団魔術を編み出し、通常よりも強力な魔法を使って、俺を弱体化、捕縛、洗脳したんだ。彼らは洗脳した配下を使役し、悪事を働いているらしい。」

「そんなことが…」五郎は言葉を失った。

飽きてしまった健一は踊り出し、それを見て笑うチャーリー。「お前、ほんとに酒が好きだな!」

五郎は真剣な眼差しでゴンに聞いた。「なぜ奴らは神の目を狙ったんだ?」

リリスも尋ねた。「なんで神の目の所在がわかったの?」

ゴンは答えた。
「確か、集団の王は異世界からの転生者で、元の世界に帰るために神の目が必要だと言っていた。」

「神器は膨大な魔力を持つため、集団魔法で魔力が多く集まっている場所、この街を特定し、配下の中で最も戦闘力のある俺が来ることになった。」

「なるほどな。俺と同じ転生者か…」五郎が納得した様子でうなずいた。

「故郷が恋しくて集団で悪巧みしちゃったってわけ?」とリリスがゴンに問いかけた。

ゴンは真剣に答えた。「まずは、北の塔にいる集団を倒さなければならない。」

その一方で、チャーリーと健一は踊り続け、笑い声がパブに響いていた。

今日はもう宿に帰ろうと五郎が提案すると、チャーリーと健一は外へ出る際、楽しそうな雰囲気が影を潜めてしまった。


翌朝、宿屋で朝食をとる5人。その中で、ゴンが人間の食事に感激して言う。

「人間の食事、美味しい!初めて食べたよ!」

五郎は驚きながらも微笑んで言葉を返す。

「そうか、君も美味しいと感じてくれて嬉しいよ。」

しかし、チャーリーは酒瓶を手に取りながら、ゴンに一杯飲むよう勧める。

「でも、酒も飲みながら食べるともっと美味しいぞ!」

その場に居合わせた健一は、リリスの腹を指差しながら軽口を叩く。

「お前なんか腹出てね?」

五郎とチャーリーは同時にため息をつきながら、健一の言葉に苦笑する。

「またかよ…」

しかし、リリスはそんなやりとりを嬉しそうに見守っていた。そして、嬉しい告白を口にする。

「皆、実は…私、妊娠したの。」

その一言で、室内には驚きと喜びの声が響き渡る。

束の間、健一の腹から腕が伸び、テーブルの上に乗った朝食は飛散し、チャーリーは「またかよ」と呆れてため息をつき、酒を飲んだ。

呆気に取られるゴンとリリス。

五郎は「何をするつもりだ」と憤り、健一を静止するために健一とリリスの間に入った。

健一の腹から出た腕は五郎を避けるように複数に分岐し、リリスの体を掴んだ。

「止められなかった」と悔やみリリスの方を振り向く五郎。

リリスを中心に爆発でもしたかのように光り輝く。

やがて光が収まると、そこには変わらず無傷のリリス。何が起きたかわからない様子。

「一体何をしたんだ」と焦った様子で五郎は健一を問いただした。

「髪の指輪の精神支配の能力でリリスの記憶を書き換えた。リリスとは昨夜出会ったばかりで、野盗に襲われていたところを俺たちに救われて同じ宿屋に泊まった」と告げた。

健一は白々しく「昨日は大変でしたね、リリスさん」と言うと、「健一さん達のお陰で私もこの子も助かりました」とリリスは微笑んだ。

「無闇に神の力をつかうんじゃない。しかも仲間になんて…」と五郎は心底呆れて頭を抱えた。

「健一らしいな」と酒を飲みながら笑い転げるチャーリー。

ゴンは神の力を目の当たりにして「人間が欲しがるのも当然の力だ」と納得した。

「ここから先の危険な冒険に愛するリリスを連れて行く訳にはいかない」

そう言って怪しげに笑う健一の左目は黄金色に輝いていた。
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