健一とチャーリーは城からほんの数歩の距離にある村の古びたパブに身を寄せていた。昼から酒をむさぼるように飲んでいる二人の周りには、村人たちが賑やかに酒を楽しんでいた。

村の人々は祝杯を挙げる理由として、近隣の城塞都市の悪政王が退位し、自由と平和の息吹が村にも届いたことを祝っていた。

だが、この知らせが健一とチャーリーの耳に入ると、彼らの反応は予想通りだった。健一は怒りに燃え、「なんであんな奴ら生き返らせたんだよ！これからどうするんだよ！」と声を荒げた。

チャーリーもまた、酒の中で自堕落になっていた。「僕もなんでここにいるんだよ…城での快適な暮らしが…」とぼやいた。

「お前のせいじゃねーか」と健一が厳しく責めると、チャーリーはぼんやりとした目で彼を見つめた。「おいおい、俺だってこんなことしたくねーって。恋人のミアを妾にして、海賊に売り飛ばし、最後は…」彼の言葉は震えた。「最後はそのまま食っちまったんだろ？」

周りの人々が祝杯を挙げる中、彼らの心は苦悩と怒りに満ちていた。

「やっと悪政王が去ったんだ！自由が戻ってきたよ！」

「祝杯を挙げよう！新しい時代の幕開けだ！」

「あのクソ野郎の支配から解放されて、本当に良かった！」

「長い間苦しんできたけど、これからは明るい未来が待っているんだ！」

「おお、酒が進むな！みんなで幸せを分かち合おう！」

二人の心は、過去の過ちと苦しみに囚われていた。しかし、その時、酒に酔った健一がふとした衝動に駆られる。

「あいつら、俺たちに何かできることあるかもしんねーぜ」と彼はぶつぶつと呟き、意味深な笑みを浮かべた。

チャーリーは彼の言葉に首を傾げたが、酔いが回った彼の目には狂気の光が宿っていた。

「まずは、この町に俺たちのルールを教えてやるんだ。その後は…」健一は不気味な笑みを浮かべながら、何かを企んでいるようだった。

夜が深まり、街は静まり返った。その静寂の中、五郎は宿で眠りにつく前にチャーリーと健一が不在であることに気づいた。昼間の彼らの言動を思い出し、心配に駆られて街中を探し回った。

すると、闇の中に怪しい人影が2つ浮かび上がった。その姿をよく見ると、それはなんとチャーリーと健一だった。彼らはパブの裏で座り込み、酒を飲んでチャーリーと健一は、タバコに火をつけるときに使用される焔石（えんせき）が握られていた。

健一は焔石を手にして不満そうに言った。「なんだよ、この石、使い方がわからねえじゃねーか！」

チャーリーも同じく焔石を見つめながら不機嫌そうに答えた。「ああ、全然分からないな。酔っ払ってんのが悪いんじゃねえのか？」

五郎は安堵とともに怒りを覚え、2人に声をかけた。「なにしてるんだ？！」と息を飲むほどの怒りを抑えながら問いただした。

健一は挑発的な笑みを浮かべながら答えた。「昼間、俺の悪口を言ってたろ？ だからさあ、アイツらの居場所燃やしちゃおうよ」とチャーリーと共謀していた。

怒りに震える五郎は、2人をぶん殴り、彼らの手から放火道具を奪った。「俺の神器、神の小手は攻撃的なエネルギーを0にする」と言いながら、彼らを止める。

痛みに泣きわめくチャーリーと健一は放火しようとする攻撃的な意思は無くなり鼻を啜っていた。五郎は厳しい表情で言った。「ふたりとも帰るぞ」と、彼らを引き摺りながら宿へと戻った。

その夜、街は平穏な眠りについたが、五郎の心には未だに怒りと不安が渦巻いていた。