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「とりあえず…どうにか撒けたか?」
「……みたい、だね」
良牙とムースから逃げ出した乱馬となまえは細い路地に入った。
乱馬は辺りの様子を伺うが、追い掛けてくる気配はない。その視線を周りからなまえに移した。
その肩は大きく上下しており、息一つ乱していない乱馬との運動量の違いが明らかだった。
「大丈夫か?」
「な、ん…とか……ていうか、乱馬くんは傀儡芝のこと知ってたの?」
大きく深呼吸をしたなまえは、自分にかかった暗示を見て動じなかった乱馬に問う。
乱馬はその言葉にドキリとしたが、掛けられた暗示と醜態をなまえに話すのは恥ずかしく、あー、えー、と口にしながら目を泳がせ曖昧に返事をした。
「……ちょっと前にシャンプーに同じ手でやられてな」
「そうなんだ」
「俺だけじゃなくてあかねも食っちまってなー……」
「私がどうしたの?」
「「え?」」
乱馬となまえが声のした方へ顔を向けると、そこには買い物袋を下げたあかねがいた。
思わぬ登場人物に二人は驚いたが、あかねは気にする様子もなく二人に近づく。
「どうしたの、二人して。こんなところで…なにかあったの?」
怪しんで疑うというよりは二人の様子を心配したあかねの声に乱馬が口を開く。
「あー、そのだな…」
-+*+-+*+-
「えええ!なまえも暗示にかかっちゃったの!!?」
「ばか!デケェ声出すなって!」
ことの顛末を聞いたあかねは驚いて声をあげた。
その声の大きさに乱馬が慌てて周りを見渡す。
「……あ、ごめん。それで、こんなところに隠れてたのね……大変だったでしょ」
「大変ってもんじゃないよー。体がもたない!」
「……わかるわ、なまえの気持ち」
あからさまに大きなため息をついたなまえにあかねは苦笑いした。
私も暗示かけられて苦労したもの。本当に厄介よね、傀儡芝って……。
あかねはそのまま視線を落とすと、自身の手にある買い物袋が目に入った。
あ、お使いの途中だったんだ。早く家に帰ってかすみお姉ちゃんに渡さないと――、そこまで考えたあかねが「そうだ!」と声を発した。
「どうしたの?」
「そうよ!ねぇなまえ、私の家に来ない?」
「え?けど……」
「だって、なまえがこのまま家に帰って二人に押し掛けられてさ、爆さ……っあ、いけない。良牙くんの得意技を言われるよりはましじゃない?」
戸惑うなまえをよそに、あかねの提案に乱馬も納得した顔で頷いた。
「そりゃ言えてるな。あいつら見境ねーし」
「私も乱馬もついてるし、二人からなまえを守れるわ。ね!」
「う、うん……」
「よっしゃ、決まりだ!」
半ばごり押しで決まったものの、助け舟のような提案になまえはありがたくその好意を受け取った。
一方、その頃。
「ここにはおらんみたいじゃな」
良牙とムースはなまえの家の前にいた。
インターホンを鳴らしても反応はなく、二人はなまえの部屋のベランダに飛び上がるが、カーテンは閉まったままで人の気配はない。
立派な不法侵入だが、注意する者もまたいなかった。
「くそ、乱馬のやつ何処になまえさんを連れて行きやがった!」
良牙が拳を自分の手のひらにぶつけた。
女の子に飢えている良牙だからこそ、あの夢のような抱擁をもう一度味わいたいのだ。その眼は血走っている。
「ここにおらんとなると……あそこしかないだ」
苛立ちを見せる良牙を見てムースは眼鏡をかけ直した。
逆光でその瞳は見えないが、良牙同様ギラギラとした闘志があるのは事実。
ムースの言葉に良牙はピクリと反応した。
「乱馬の家…つまりは、」
「天道道場じゃな」
「よし、行くぜムース!」
「おう!」
二人はなまえの家をあとにし、天道道場を目指した。