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「って、さっきからどういうこと!どうして体が勝手に動くの!!?」
ムースから離れたなまえは眉を寄せた。自分の意思など関係なく抱きついてしまうなんておかしい。
困惑したその様子に苦笑しながら同情の意味も込めて、乱馬はなまえの肩をポンと軽く叩いた。
ちなみに良牙とムースは乱馬から蹴りをくらって地面に倒れている。
「とりあえず落ち着けよ」
「乱馬くん……」
「おめー、さっきムースのシュウマイ食ったろ。それに《傀儡芝》ってのが入ってたんだ」
「かいらいし?」
聞き慣れないその単語をなまえは繰り返した。
「そー。それを食っちまって初めに聞いた《合図》と《命令》で暗示がかかっちまうっつー面倒なやつだ。今回はおめーが《爆砕点穴》って言葉を聞くと体が反応するようにな」
ぎゅっ。
それを示すようになまえは乱馬に抱きついた。体が勝手に反応し、自身の意思とは関係なく動いてしまうのだ。
謎がとけたなまえは納得した顔で頷く。
「な、なるほど……」
「……悪ぃ」
「いーよ、不可抗力だし」
ばつの悪い顔をした乱馬だったが、なまえは乱馬がわざと発したわけではないとわかっていたため笑って許した。
そして二人は離れる。
「……ほーう、そういうことだったのか」
「げ。聞いてたのか、良牙」
ゆらりと立ち上がった良牙はぎゅっと拳を握りしめた。
「そうなりゃ《爆砕点穴》と口にすりゃなまえさんと抱擁出来るんだな!?」
ぎゅっ。
「良牙くん……」
「泣きながら言うな、泣きながら!」
なまえに抱きしめられた良牙の周りにはまるでたくさんの花が散っているようで、その喜びを噛み締めていた。
そんな良牙にたまらず乱馬は声を上げた……が。
「そうはさせんぞ!《爆砕点穴》というなら誰でも構わんのじゃ!」
ぎゅっ。
良牙からムースに移ったなまえ。ムースも良牙と同様に大量の涙を流しながら喜んでいた。
「おめーも泣くな!」
「体がもたないよー!」
「ちっ、これじゃ埒があかねぇ!行くぞ、なまえ!」
「え!?」
ムースの顔面に跳び蹴りを食らわせた乱馬は、即座になまえの手を取ると一目散に走り出した。
不意をつかれた良牙とムースは一歩出遅れてしまう。
「あ!待て乱馬!」
「爆砕て……ぐぇっ」
追いかけようとする良牙と《合図》を発しようとしたムースだったが、良牙がそれを阻止した。
すぐになまえを手に入れたいのは良牙もムースも同じだが、相手は恋敵なのだ。簡単に渡すわけにはいかない。
じり、と二人は間合いを取った。
「技を使えねぇお前にそれを言う資格などない!」
「なんじゃとおおお?おらがなまえにシュウマイを食べさせなかったら、あの抱擁は受けられんかったんじゃぞ!」
「……な!」
「……そうじゃろうが」
それは本当である。
ムースが傀儡芝入りのシュウマイを作らなければ、こんなことなど起こらなかったのだ。
優位に立ったムースは良牙の悔しそうな表情にニヤリと笑った。
「しかし!食わせたのはお前かもしれんが《合図》の暗示をかけたのは俺だ!」
「……ぐっ!」
「ふんっ」
それもそうである。
ムースが鳴らした指の音は良牙の《爆砕点穴》にかき消されてしまったのだ。そして何の《合図》に反応しているのかわかったのも、良牙が《爆砕点穴》を連呼したがため。
形勢逆転となり、良牙はムースを鼻で笑った。
「……」
「……」
しかしこうしている間にもなまえは離れていく。焦る二人だったが、先に口を開いたのはムースだった。
「……ここは一時休戦じゃ」
「……ふん。考えてることは同じってか」
バキッと良牙は指を鳴らした。そして二人はなまえと乱馬の駆けていった方へ走り出す。
「まずは……乱馬からなまえを奪い返すだ!」
「行くぜ、ムース!」
「おう!」
一人では敵わないかもしれないが、二人ならどうにかなるかもしれない。
乱馬からなまえを奪還するために二人は手を組んだ。
ひとまず利害が一致した瞬間であった。
To be continued...
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原作のお話は傀儡芝でした!良牙が妄想しまくってしまってますね……ははは(汗)