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放課後。
長かった授業も終わり、生徒たちは帰宅の途についていた。
なまえは乱馬と早々に学校をあとにし、談笑しながら住宅街を歩いている。ちなみに朝一緒だったあかねは、姉のかすみからお使いを頼まれていたようで商店街の方へ向かっていった。
「なまえー!!!!!」
穏やかな時間が流れる中、けたたましい叫び声が二人の後ろから聞こえた。
「ここにいただか、なまえ!探しておったぞ!」
二人が同時に振り返ると、そこには中国服の青年――ムースが一生懸命ポストに話しかけていた。
「なにやってんだ、おめー。なまえはこっちだ、こっち!」
「……ん?ポスト……に、乱馬!?」
ムースは額に乗せていた眼鏡をかけると、目の前のポストと隣にいる乱馬に驚いていた。
「乱馬!なまえを何処にやっただ!」
「はぁ?おめーが勝手に勘違いしたんだろ!このド近眼野郎!」
「やかましい!お前に用はないだ!」
話しかけたのがなまえではなくポストだったというのは今に始まったことではない。
もはやムースのお約束とも言っていいものなのだが、やはり間違うのは恥ずかしいようで、そのやるせない気持ちを乱馬に八つ当たりして発散させているようだった。
「ムース、私になにか用?」
そんな二人を見かねてなまえは口を開いた。
その声にムースはなまえに駆け寄り、片手に持っていたおかもちから小振りのセイロを取り出した。
「なまえ、おらが作ったシュウマイじゃ、食べてけろ」
「試作品?」
「そうじゃ」
ほわほわと白い湯気が出ているシュウマイは見るからに美味しそうだ。
鼻を抜けていくその香りに乱馬も食欲をそそられたらしく、ムースの肩口にセイロを覗いた。
「んだよー俺にも食わせろよ」
「なまえが先じゃ!おのれはレディファーストを知らんのか!」
「な!」
ん、んなこたぁわーってるけどよ!
美味しそうなものが目の前にあるのにおあずけとは……乱馬はごくりと生唾を飲んだ。
そんな乱馬などお構いなしに、ムースはなまえに箸を渡した。
「ほら遠慮せんで食うだ」
「じゃあ……いただきまーす」
ムースに促されなまえはシュウマイを口にした。試作品とは言えやはりその味はとてもおいしく、なまえは味わうようにシュウマイを食べた。
なまえの様子を見ていたムースはニヤリと口角を上げると思いきり息を吸い込み、叫んだ。
右手でパチンッと指を鳴らして。
「抱きしめてけろー!」
「爆砕点穴ー!!!!!」
ムースが叫んだとほぼ同時に、三人の足元から自らの得意技を叫びながら大きなリュックを背負った青年が突如として現れる。
トレードマークのバンダナをつけた青年は、乱馬やムースのライバルである響良牙だった。
ぎゅううう。
「……なっ!!?」
「……あれ?」
「なぜじゃ!?」
「……これって……」
ガラガラと瓦礫が音を立てる中、地面から姿現した良牙のその腰には――いつの間にかなまえが抱き付いていた。
抱きつかれた良牙は目を丸くして固まり、まるで体が勝手に動いたような感覚のなまえはきょとんとしている。
ムースは眼鏡越しに現状を確認しつつ自身の思うようにいかなかったことに叫んでいた。
一方で乱馬は身に覚えのある流れに頬を引き攣らせており、四人が四人とも突如起こった事態に驚いている。
先ほどまで騒がしかった住宅街が、まるで時が止まったように静かになった。