ある日の放課後物語。
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「そーいや、なまえちゃん良牙に会うた?」
右手をヒラヒラ動かしたまま右京は、チラリとあなたを見ました。
「ううん、会ってないよ。良牙くん帰ってきたの?」
「帰ってきとるでー。うちがここで呼び込み始めてもう4回は会うてるわ」
右京はわかりやすいほど大きくため息をつきました。
その様子にあなたはなんとなく事の次第を察します。
「あんの方向音痴、いっっくら説明してもここに戻ってくんねん。次会ったら地図書いたろか思うてたとこや」
「あー……」
目的地に辿り着くまでに途方もない時間と日数がかかることで知られる響良牙は、右京の言うように極度の方向音痴なのです。
思っていた通りの話にあなたは苦笑いをしました。
「それでな、あのアホ、なまえちゃん家に行きたがってたで」
「え、私の家に?」
「そー。何の用かまでは聞いてへんけどな」
良牙の行き先を聞いてドキリとしたあなた。
そんなあなたの様子を見て、右京はあなたの両肩をポンポンと叩きました。
その顔は含んだような笑みを浮かべています。
「これで形勢逆転やな」
「……それとこれとは話が違うでしょ!」
「えっと変わらんのちゃう?」
格好いいと褒めて右京を照れさせたあなたは、好きな人の名前を聞いて照れてしまいました。
熱を持った頬を冷ますように、右手でヒラヒラと風を送り始めたあなた。それは先程の右京と同じもので、右京はニヤリと笑っています。
「はよ、行ってやりー。うちの5回目が来る前に見つけたってや」
「う、うん……」
「あ、あと……」
右京はあなたの左手を取ると、その手のひらに数枚の紙を乗せました。
それはついさっき見たばかりの“お好み焼きうっちゃん割引券”です。
含んだ笑みから一変、屈託のない笑顔で右京は口を開きました。
「デートの際はお好み焼きうっちゃんでお待ちしております!」
どこまでも商売上手な右京らしい発言です。
笑顔で呼び込みを受けたあなたは、デートと言う単語に再び顔を赤くするのでした。
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