真之介
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「よし。準備は整った」
あとは当日を待つだけだ。
戸棚にラッピングしたものを隠す。それは毎年律儀にくれる彼女へのお返し。
渡す日を忘れぬよう、目立つ赤色のペンでカレンダーに印をつけた。
「お。なまえちゃんへのプレゼントか?」
「あぁ。バレンタインのお返しだ」
「わしもお返しせんといけんのぅ」
「……ところであんた誰だ?」
じぃちゃんを忘れるヤツがあるかーっ!!
真之介の祖父は涙を流しながら叫んだ。
ちなみになまえというのは、二人の世話役のような存在である。
この飛御の森が何の変哲もない珍獣動物園だった頃、カモノハシ騒動で両親と逸れてしまい、真之介の祖父に保護されたのが出会い。
それから真之介と共に育ち、今や家事全般を主に二人を支えているのだ。
祖父の一言に、おぉ。と納得したような顔の真之介は、祖父に尋ねる。
「じぃちゃん、何を返すんだって?」
「何ってなまえちゃんからのバレンタインのお返しじゃ」
「なっ!じぃちゃんはなまえからバレンタインをもらったのか!?」
祖父の発言にショックを受ける真之介。彼は忘れっぽいのが玉にキズだ。
がくっと肩を落とした祖父は戸棚を開けた。
「お前ももらったじゃろうが、手紙付きで」
「お?あぁ、そうだった」
中身のチョコは食べてしまったが、チョコと一緒に貰った手紙は取っている。
忘れっぽい真之介のために、わざと手紙を添えていつでも思い出せるようにしたなまえの計らい。
それを見て、真之介は思い立った。
「じぃちゃん、バレンタインのお返しをしないといけない!」
「真之介……」
本当に忘れっぽいやつじゃな…と改めて祖父は思った。
数日が経ち、三人は夕食を食べてのんびりくつろいでいた。
真之介はなまえが煎れたお茶を飲みながら、テレビからふと視線を動かす。
目に止まったのは、赤い印がついたカレンダー。
はて、と真之介は首を傾げる。
「あのカレンダーの印は何だ?」
「印?……私じゃないよ、おじいちゃんが付けたの?」
「わしでもない。真之介が付けたんじゃ」
「俺?…………あっ!」
思い出した真之介は、テレビの横にある戸棚に近寄り、戸を開けた。
黙々といくつかの戸を開ける真之介に、どうしたの?と尋ねるなまえの声は届いていない。
がさがさと棚を漁ったあと、ようやく目的の見つけた。
それを手にして振り返る真之介は満面の笑みを浮かべている。
「なまえ、バレンタインのお返しだ!」
「え!?あ……ありがとう」
屈託のない笑顔で渡されたプレゼントを受け取るなまえ。
忘れっぽい真之介のことだから、正直ホワイトデーなんて気にしていなかった。
というかソレ目的でバレンタインをあげた訳じゃないけれど。
まさかもらえるなんて思ってもいなかった。なんにせよ嬉しい。
……………でも、
「思い出してよかった。せっかくのホワイトデーだもんな」
そう言ってまた微笑む真之介になまえは、ホワイトデーはもう終わったよ、なんて口が裂けても言えなかった。
END.
真之介くん、好きです。
メイン四人以外にも手を出していきたいと思ってます!
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