響良牙
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拝啓、なまえ。
元気で過ごしているだろうか。
俺は相変わらず元気だ。
ちなみに俺は今、金沢にきている。
綺麗な庭園を見てきたが……せっかくならお前と見たかった。
なまえがいるだけで、俺が見る世界はいつも華やかだ。
今度一緒に旅に出る機会があれば、一緒に見に行こう。
ところで、俺はいいことを思い付いたんだ。
以前暑中見舞いを出すつもりが、ポストに辿り着けなかったために残暑見舞いになってしまったことがある。
それで、ポストで手紙を書けば迷わずに済むということに気付いたんだ。
すごいだろ?
しかしな、今回は迷わず辿り着いたんだが……こともあろうか、切手を忘れてしまった。
なんたる不覚。
そこで切手を買うためにコンビニに入ったんだが……ラッキーなことにコンビニの横にポストがあったんだ。
愛の力はすごいな。
書くことはこのくらいにして、近々訪ねるのを伝えたかったんだ。
話すことは山ほどあるぞ笑
では、またな。
追伸。
金沢はいいところだ。食べ物がうまい。
土産を買ってくるからな。
「……今、どこにいるんだろ」
手紙を来てからというもの、何度この手紙を読み返したことか。
「お前の後ろにいるぞ」
「っ、良牙!?」
大きなリュックを背負った良牙が、気付けばそこにいた。
「待たせたな、元気だったか?」
「うん。良牙は?」
「変わらねーよ」
に、と笑うと八重歯が覗く。本当に帰ってきたんだ。
「ほれ、土産だ」
「ありがとう!なになに…………からし蓮根?」
「結構イケるぞ!」
「こっちは……いきなり団子?」
「さつまいもとあんこが入ってんだ」
いやいや、金沢じゃなくて熊本じゃん。
庭園ってもしかして水前寺公園?
「あ、ありがとう」
「おう!」
嬉しそうに笑う良牙がかわいい。
「今回戻ってきたのは、また乱馬くんとの決闘?」
「違う」
「じゃあムース?」
「違う」
「んー……」
「決闘じゃねーよ。恋人に会うために理由がいるのか?」
「!」
ドキッとした。私もずっと会いたかったんだから。
大きな掌で頬を包まれると、徐々に近付く真っ直ぐな瞳が恥ずかしくて、目を閉じた。
唇に良牙の温もりが伝わる。
長く、良牙を感じていたかったが、ゆっくり離れた彼はくくっと笑った。
その眼差しは優しい。
「っ、キスも久々だな」
「だって、良牙が旅に出るから」
「そ、れは……その。なまえを守るために強くなろうと……」
「わかってる」
急にもじもじしだす良牙に今度は私が笑って。
「ねぇ良牙、」
「ん?」
「おかえりなさい!」
「……ただいま」
互いの額をくっつけて微笑むと、再び重なる唇。
こんな幸せな日々を君と一緒にすごしていきたい。
END.
5月23日、キスの日。そしてラブレターの日。
ラブレターにならず少し心残り笑