中編:恋した相手は。
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いつからなのかはもう忘れた。
教師の説明をBGMに、俺は頬杖をついて窓越しの空を眺めていた。
土曜日の試合が終わってなまえと話していたとき、俺を呼んだのはサッカー部の監督だった。
「来週の試合にも出てくれないか?」
そう言われたのに俺は二つ返事で承諾した。
別に用っていう用はねーし、
親父も修業に行くとか言ってなかったし、
試合の日程は事前にわかってたからもし勝ったらそー言われんじゃねーかっておおかた予想はしてたし、
サッカーは嫌いじゃねーし、
別に……俺は……。
なまえに会う時間が増える、とか思ってねーし……。
ゆったり流れる雲を目だけで追いかけて、軽く息を吐いた。
この雲が流れる先はなまえのクラスだ。
マネージャーをしているなまえは同級生だが同じクラスじゃない。
人数の多い学校だからサッカー部のキャプテンにピンチヒッターを頼まれるまでは、全くその存在を知らなかった。
数ヵ月前のある日の放課後、サッカー部の部室にサッカー部のキャプテンと一緒に行くと、掃除をしていたなまえに出会った。
『ピンチヒッターって早乙女くん!?』
『おーそうだぜ……って、えーっと……』
なまえはピンチヒッターが来ることは知ってたらしーが、俺だと知らなかったみてーで、すごく驚いてたのが印象的だった。
『私はマネージャーのみょうじなまえ、よろしくね』
『おう、よろしく』
そして握手を交わした。
そのとき微笑んだなまえの柔らかな笑顔に思わずドキッとした。
そうして俺は助っ人として度々サッカー部を出入りするようになった。
試合だけ出りゃーいーってもんじゃねーから、たまに放課後の練習にも参加したりして。
何度も顔を合わせる内になまえとも仲良くなって、女友達の中では珍しく気の許せる相手になっていた。
「(なまえと話してーな……)」
用もないのに話しだけしにいくのも変な話だし、特にヒロシやダイスケはそーゆーのをすぐに嗅ぎ付けてくるから、出来るだけアイツらのいねーとこでゆっくり話したい。
って、別に話したい話題なんてねーけどよ。
ただちょっと二人で笑ったり冗談言い合ったりしてーだけだ。
……同じ学校にいんのに、クラスが違うってだけでこんなに接点ってねーんだな。
ぼんやり眺めていた雲が流れて見えなくなって、俺はまたひとつ息を吐いた。
気付けばなまえのことばっか考えてる俺は、どーやらなまえに恋しちまったらしい。
それがいつからなのかは、もう忘れた。
To be continued...