初恋。
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「――俺?」
「絶対に内緒ですよっっ」
顔を赤くさせたみょうじに俺の声は届いていなかった。
しばらく写真を眺めたあと、生徒手帳を返す。何も言わずに渡した俺に、みょうじは戸惑っていた。
「あの……」
「なぁみょうじ。ソイツの返事、聞きたくねーか?」
「え!?さ、おとめくんの……?」
驚いた表情が、次第に不安に変わる。
俯くみょうじは、でも……、私のことなんか知らないだろうし……とか、きっとあかねちゃんが好きだとか、弱音を吐いていた。
「俺、ソイツの気になるヤツ知ってんだ」
「え!?」
再びみょうじの手首を掴み、引っ張る。目指すはこの近所だという、みょうじの家だ。
「あのっ……」
「いーから」
戸惑うみょうじをそっちのけで、家へ入り込み、そのまま風呂へ向かう。
初めは後ろで色々言ってたみょうじだったが、俺が何も言わずにぐいぐい引っ張っていくため、次第に大人しくなっていった。
「……お風呂?」
「よく、見とけよ」
シャワーの蛇口をひねると勢いよくお湯が出る。
同じくらいだった握ったままの手が、一回り小さく感じた。
顔一つ分程身長が高くなった俺を見て、みょうじはこれ以上大きくならないくらい、目を見開いている。……そりゃそうだよな。
「さ……お、とめ……、くん?」
「隠してたわけじゃないんだけど、その……俺、特異体質で水を被ると女になるんだ」
「さっきの、女の子は……早乙女くん?」
「……あぁ」
俺が返事をしたあと、みょうじは俯いて繋がったままだった手を離した。
ぎゅっと握られた手は、すげー力が入っているのか、色が白く変わっている。
沈黙に耐え兼ねて、恐る恐る口を開いた。
「……みょうじ?」
「……たの?」
「え?」
「私のことからかってたの?」
みょうじは小さな声で呟いた。
どうしてそうなる?
「私のこと知ってて見たんでしょ」
「みょうじのことはもちろん知ってる。でもおまじないのことは知らなかった」
「うそ!」
「うそじゃねーよ!だぁぁもうっ!!」
勢いに任せてもう一度みょうじの腕を掴んで、今度は抱き寄せる。細い腕から想像がつく華奢な肩を抱いた。
腕の中でもがいても放す気はない。俺の気持ちも聞けっての!
「ホントに何も知らなかった」
「放して!」
「放すか!俺がお前に言うことは、写真のやつが気になる相手っつーのはお前ってことだ!!」
暴れていたみょうじが急におとなしくなった。我ながら言わなきゃならないこととはいえ、恥ずかしいことを言ってしまったせいで顔が熱い。
「……え?」
「……教室で見るより色んな表情をして、芯のある心に惹かれちまったそうだ」
「……うそ、」
「俺ぁウソはいわねーぜ――なまえ」
「!」
みょうじの――いや、なまえの首筋に顔をうずめて続けた。これから、もっとお互いのこと知っていかねーか、って。
あんな短い時間だったのに、なまえのことが気になってたまらない。
「ホントに……?」
「どんだけ疑ってんだよ。ホントだ」
「……う、れしい……っ!」
お前のころころ変わる表情がかわいくて仕方ない。
儚げな君を守ってやりたい。
そして、俺のことももっと知って欲しい。
「これからよろしくな、なまえ」
恐る恐る背に回された手のひらのぬくもりに、自然と口元が緩んだ。
END.
話のほとんどが女らんまという、うん。