私ノアは今、見知らぬ美女に壁際に追い詰められています。
それは数分前…









「やっと休憩時間だー！」

先程までノアの苦手な教科の授業をしていて、それがようやく終わった。
これから特にする事はなく、ぼーっと歩いているとそうそう使われていない屋上へと続く階段まで来た。
すると上からトントンと軽快な足音が近付いて来る。

「（…誰か前の授業サボった？）」

じゃないと休憩に入って間もない時間に屋上から降りて来る事はない。
ノアがそう思っているとその足音の主が姿を見せた。

「………………誰？」
「ありゃ、見つかっちゃった」

目の前には見た事のない制服を着た少女。
その手には何故かパラシュートの残骸らしきものが乱雑に纏（まと）められて持っている。

「えっと…どちら様で…？」
「来て」
「え゛っ」

少しオドオドしているのはお構いなしで、少女はノアの手を掴み自ら来た屋上へと逆戻りする。
そのまま扉を開けて屋上へ行くのかと思いきや、扉も開けずその手前で立ち止まる。
少女は振り返り、掴んでいた手を離す。
…だけならよかったものの、冒頭へと話は戻る。

「あぅ…あの…わ、私そういう趣味はないんですけど…！」

ノアの頭の中はもうパニック状態。

「私だってないよ。それより」

更に距離は近付く。
ノアにしか聞こえない所まで迫ると小さな声で言った。

「私に会ったって事、誰にも言わないって約束してくれる？」
「……」

そうしてくれないと、あとあと面倒になるんだよね～。
と、口では軽く言ってくれてるが目が笑っていない。

「OK？」
「お、オーケー…」

離れるとニカッと笑う目の前の人。
さっきのは何だったんだと呆気にとられる。




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