空が導く銀色

ここは暴力と殺人が蔓延はびこる世界。
偶然にも日本人である緑郎ことロックとあだ名を付けられた彼は、運び屋のレヴィと出会った。
現在彼はイエローフラッグと言うバーにいるのだが、珠に黒いフードと身体を隠すコートを羽織った男を見掛ける。
いつもなら見て見ぬフリをするロックだが、この日はフードを脱いだ男の素顔を知った。

「俺に何か?」
ロ「あ、いえ、何でも…」

視線で気付いた男はロックに声を掛ける。

「…お前、日本人か」
ロ「わかるんですか?」
「くくっ…まぁな。こう見えても仕事上、世界中を回ってんだ。日本にも何度か行ったぜ」

「仕事上」の言葉が気になったが、こんな世界に放り込まれた形のロックは聞き流した。
どうせ碌でもない仕事だろう、と。

「ここで何度か見るが…あんたの名前は?」
ロ「ロック…ですけど」
「ってー事は…日本名は"ろく"が付くか。俺はスカイ。とは言っても、これはコードネームみたいなもんだ」

挨拶替わりにか酒の入ったグラスをロックに向けると、それを察したロックも同じくグラスを傾ける。
カンッとグラス同士の当たった、いい音が響く。

ロ「…どうも」
「今日はある奴に呼ばれててね。いつもならとっくに店を出てるんだが、この時間帯は人が多いわ多いわ」

ゲラゲラと下品な笑い声が目立ってきた店内を見渡す。




.
1/4ページ