皆に見られた恥ずかしさからか、顔を真っ赤にしたアリーシャはようやく落ち着きを取り戻す。

ア「す、すまない…いきなりだったもので、つい…」
「久しぶりに泣き顔が見れたからよしとする」
ア「もうっ」
エ「で、あんた達はどういう関係？」

痺れを切らしたエドナが二人の間に割って入って来る。
改めて姿勢を正したアリーシャは皆と向き合う。

ア「この方は私の実兄にあたる…」
「ライキ・ディフダ。気ままに旅してる野郎だ」
ス「あ、兄って…アリーシャにお兄さんがいたんだ！？」
ロ「あー…」

この事を何も言っていなかったアリーシャにスレイは驚く。
にも関わらず、何故かロゼは一人納得していた。
それはセキレイの羽としてレディレイクに度々寄っていた時に…




子『あ、お兄ちゃんだ！』
『おいこら。それは言うなって言ってんだろ』
子『えー。お兄ちゃんはお兄ちゃんでしょ？』
『…ライキって呼べって前に言ったがな？』
子『だって、お兄ちゃんはアリーシャ姫の…』
『ばっ…！もう喋んな！』




街の子供とのやり取りを偶然見かけたのだ。
風の骨として行動していた時に仕入れた情報では、アリーシャに兄がいる。
しかし両親を亡くして、妹を置いて屋敷を飛び出した兄。
それから数年経っても戻る事はなかったが、街には変わった髪の男の目撃が増えた。

ロ「あれってライキの事だったんだ」
「…やっぱ目立つよな。この髪だと」

何故屋敷を飛び出したのか。
ライキに聞くと、それはアリーシャの為だと答えた。

ア「私の？」
「親父はおろか母さんも死んで、末席と言えど王位継承権が問題でな」

母の身分が低かったが故、ライキとアリーシャの扱いが酷くなるのはわかっていた。
だがライキが継げば、更に酷い目に遭うのはアリーシャだった。
子供ながらにライキが考えた結果、自身が継承権を放棄する事。
しかし、この行動も不安だった。
それを行えばディフダ家に泥を塗る事になるのでは、と。
これではアリーシャが悲しむのではないか。
ライキが思考を繰り返すも、結果行動に変わりはなかった。




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