次代へ繋ぐ
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数十年前、災厄の時代は一人の導師によって幕を閉じた。
彼はどこまでも真っ直ぐだった。
最後には、自分が長い眠りについてまでして穢れた五大神マオテラスの浄化を続けていると聞く。
「聞く」と言うのは、それだけの年月が過ぎた事を意味していた。
「ノアさん」
「…ライラ?」
ライラが一人の名を呼ぶ。
ノアと呼ばれた天族は最近、人間から転生したばかり。
天族には初めから天族として生を受けた者と、人間から転生する二通りがある。
転生した場合は、以前の人間だった頃の記憶はない。
「どうかしましたか?ご気分でも…」
「大丈夫。大丈夫なんだけど……あれを見てると何か懐かしくてさ」
彼女の視線の先には、今の時代に現れた新たな導師と年老いた男女。
正確には、更にその先にある一つの物に向けられていた。
「…彼女は曲がった事が嫌いで、常に明るい方でした」
時には当時の導師と進む道に悩んで、時には亡くなった天族の為に涙を流す。
「…私の姉だったんだよね?その…ロゼって人」
「ええ」
一つの墓の前には、生前彼女が使っていたとみられる短剣が二本添えられていた。
現在の導師と旅をしている途中に立ち寄ったこの場所。
目の前には湖が広がり、心地良い風が吹いている。
ノアはこの墓は自分の姉であって、そうではない不思議な感覚だった。
人間だった記憶は筈ないのに、ずっと一緒にいたのだ。
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彼はどこまでも真っ直ぐだった。
最後には、自分が長い眠りについてまでして穢れた五大神マオテラスの浄化を続けていると聞く。
「聞く」と言うのは、それだけの年月が過ぎた事を意味していた。
「ノアさん」
「…ライラ?」
ライラが一人の名を呼ぶ。
ノアと呼ばれた天族は最近、人間から転生したばかり。
天族には初めから天族として生を受けた者と、人間から転生する二通りがある。
転生した場合は、以前の人間だった頃の記憶はない。
「どうかしましたか?ご気分でも…」
「大丈夫。大丈夫なんだけど……あれを見てると何か懐かしくてさ」
彼女の視線の先には、今の時代に現れた新たな導師と年老いた男女。
正確には、更にその先にある一つの物に向けられていた。
「…彼女は曲がった事が嫌いで、常に明るい方でした」
時には当時の導師と進む道に悩んで、時には亡くなった天族の為に涙を流す。
「…私の姉だったんだよね?その…ロゼって人」
「ええ」
一つの墓の前には、生前彼女が使っていたとみられる短剣が二本添えられていた。
現在の導師と旅をしている途中に立ち寄ったこの場所。
目の前には湖が広がり、心地良い風が吹いている。
ノアはこの墓は自分の姉であって、そうではない不思議な感覚だった。
人間だった記憶は筈ないのに、ずっと一緒にいたのだ。
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