一端落ちつく場所へとの事で二人は近かったライキの家に行った。

「ご、ごめんね急に…」
「いいって今更」

何が今更なのか。
レイアが家の中を見るとそこには何故か女性物がある事に気付く。

「…これ誰の？」
「誰って…お前のだろ」
「はあ！？」

一瞬耳を疑う。
それもそうだ。
ここはライキの家であって自分の物と言う物がそこにあるのだから。

「この前『あのお店の限定品欲しい～』とか言ってたから、俺が何とかして買って来たんだよ」
「私が言ったの？」
「…レイア本当にどうしたんだ？」
「だって！それにさっきの『今更』っておかしいでしょ？」
「何処が？俺ら夫婦だろ」




家に声が響き渡った。




いつの間にか恋人の関係が結婚して夫婦となっていた事には驚かされた。
少しして落ち着きを取り戻したレイアは街や街道の異常をライキに聞く。
これも分史世界の破壊の為…

「！」
「ん、また何かあんのか？」
「あ、いや…」

ここは分史世界。
破壊しなくてはならない世界。
そして目の前にいるライキは分史世界の人間。
レイアのいる世界では既に死んでいる。
つまりここを壊せば再びライキに会う事は出来なくなる。

「…最近フェルガナ鉱山に変わった魔物がどうとか、よく聞くな」
「鉱山に…」
「また取材にでも行くんだろ？俺はやる事あるから行けないけど」
「うん…」
「頑張れよ。お前の取り柄だろ」
「うん……頑張るよ、私」

名残惜しいが行かなくてはならない。
だが、それと同時に行きたくなかった。
やっと会えた恋人。
ライキが生きていれば、自分達は夫婦となれた世界。
幸せな世界。

「（…この世界の私は幸せ者だよね）」

少し妬ましく思った。




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