ク「だったら、あたしが貰ってもいいよな？」
「…はい？」
響「あッ！」

話を聞いていたクリスが響の腕の中から乃愛を引き剥がし、自身に寄せて肩を抱く。

ク「馬鹿にはあの子がいるんだ。あたしなら他に相手なんていねぇし、それならいいだろ？」
「わ、私が結婚するのは前提なんですかクリスさん…！？」
ク「…何だ、しねぇのか？」

どこか寂しそうにするクリスに、乃愛は一瞬ドキリとしてしまった。
普段強がりである彼女は、本当は寂しい人生を送ってきている。
乃愛はそんなクリスに、誰よりもよく相談を聞いてあげていた。
クリスもまた、そんな乃愛に心を開いていた。

「い、いつかはしますけどッ」
ク「なら、今あたしと「いや、柊は私の所に嫁ぐ事になっている」」

現れた翼に、響とクリスはある言葉を聞き逃さなかった。

響「ちょっと待って下さい翼さん。今…」
ク「嫁ぐって…どういう事だぁ？」
翼「決まっている。柊は私と共に暮らすと言っているのだ」

しれっとした発言に、二人はピクリと反応する。
しかし二人を無視し、翼は乃愛に問う。

翼「柊、いや…乃愛。私と共に、一緒にいてほしい。必ず幸せにする」
「あ、……ぅ…」

片膝を着き、さながら紳士のように乃愛の手をとる翼。
しかもいきなりの苗字から下の名前で呼ばれ、どう答えていいのかわからなくなっていると。

ク「そいつは聞き捨てならねぇな、先輩」
響「翼さんには渡しませんッ！乃愛ちゃんは私が貰いますッ！」
ク「いいや、お前にも渡さねぇよッ！」
翼「私とて、二人には渡さんッ！」

翼の手を弾き、乃愛を庇うようにして二人は前に出る。
しかしそこから三人のバトルが始まったのは、言うまでもない。




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