誰が為に彼の者と往く
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「あんたの親は死んだ。生き返る事もねぇ。それに…両親はお前に死んでほしくないと思ってんじゃねぇか?」
酷な言い方だが、知ってもらう必要があった。
雷騎もなぜか、この少女を放って行こうとは思えなかった。
「(ついにイカれちまったかぁ?)」
自身の頭が、だ。
戦争を繰り返していれば、まともな思考は奪われていく。
奪われていく…筈なのだが。
「……ひっく…」
「…今は無理だが、いつかちゃんと弔えば、あんたの気持ちは親に届くんじゃねぇか?……出来なかった俺とは違ってよ」
雷騎は、この少女に自分が重なって見え、かつて出来なかった自身のようになってほしくない。
これはこれで、"兵士としての思考はイカれている"と言ってもいい。
感情の赴くままの行動は命取りになる。
戦争に"それ"は不要。
教えられてきた命令とも捉えられるそれだったが、雷騎は捨てきれずにいた。
「……お墓…」
「あん?」
「ちゃんと……お墓…立てられる…?」
「…いつかな」
「だから、お前は生き延びろ」と、続けて言う。
精々そう言えるぐらいだった。
雷騎はそのまま、少女の横を通り過ぎて行く。
拾った所で戦場には邪魔だと判断したのだ。
.
酷な言い方だが、知ってもらう必要があった。
雷騎もなぜか、この少女を放って行こうとは思えなかった。
「(ついにイカれちまったかぁ?)」
自身の頭が、だ。
戦争を繰り返していれば、まともな思考は奪われていく。
奪われていく…筈なのだが。
「……ひっく…」
「…今は無理だが、いつかちゃんと弔えば、あんたの気持ちは親に届くんじゃねぇか?……出来なかった俺とは違ってよ」
雷騎は、この少女に自分が重なって見え、かつて出来なかった自身のようになってほしくない。
これはこれで、"兵士としての思考はイカれている"と言ってもいい。
感情の赴くままの行動は命取りになる。
戦争に"それ"は不要。
教えられてきた命令とも捉えられるそれだったが、雷騎は捨てきれずにいた。
「……お墓…」
「あん?」
「ちゃんと……お墓…立てられる…?」
「…いつかな」
「だから、お前は生き延びろ」と、続けて言う。
精々そう言えるぐらいだった。
雷騎はそのまま、少女の横を通り過ぎて行く。
拾った所で戦場には邪魔だと判断したのだ。
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