空虚の心
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「おう、目が覚めたか」
柔らかい布団が体を包んでいて、失った筈の意識が覚醒していく。
視界の端に男性の姿が見えた。
丁度響の額に乗せていたタオルを換えようとしていたようだ。
「……」
「熱が出てるからな。今は動かないほうが「何で助けたの」…あん?」
助けた少女からの一言目が「何で助けたのか」だ。
「…偶然通ったとは言え、見過ごせるかよ。そこまで俺は出来てねえぞ」
何も言わずに上体を起こす響に、男は背を支える。
「……体」
「体がどうした?」
「…体が目的なの?」
「違ぇし何馬鹿な事言ってんだてめえ」
「痛っ」
とても少女が言うような台詞ではない。
男は軽く小突いた程度だったが、熱のある今の響には痛かったよう。
「あー…上手く言えねえけどな、俺が助けたいから助けたってだけだ。それじゃ理由になんねえか?」
「『助けたいから』…」
小さく言った後、男の目の前の少女は俯いてしまった。
何か事情があると察した男は話題を変える。
「俺は雷騎。苗字なんてもんはねえ」
ピクリ、と響は僅かに反応した。
「…何でないの?」
「産まれて間もない頃、親に捨てられちまったらしい」
「え…」
本当は名前もない。
偶々通りがかった老人が拾ってくれて、『雷騎』と名付けてくれた。
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柔らかい布団が体を包んでいて、失った筈の意識が覚醒していく。
視界の端に男性の姿が見えた。
丁度響の額に乗せていたタオルを換えようとしていたようだ。
「……」
「熱が出てるからな。今は動かないほうが「何で助けたの」…あん?」
助けた少女からの一言目が「何で助けたのか」だ。
「…偶然通ったとは言え、見過ごせるかよ。そこまで俺は出来てねえぞ」
何も言わずに上体を起こす響に、男は背を支える。
「……体」
「体がどうした?」
「…体が目的なの?」
「違ぇし何馬鹿な事言ってんだてめえ」
「痛っ」
とても少女が言うような台詞ではない。
男は軽く小突いた程度だったが、熱のある今の響には痛かったよう。
「あー…上手く言えねえけどな、俺が助けたいから助けたってだけだ。それじゃ理由になんねえか?」
「『助けたいから』…」
小さく言った後、男の目の前の少女は俯いてしまった。
何か事情があると察した男は話題を変える。
「俺は雷騎。苗字なんてもんはねえ」
ピクリ、と響は僅かに反応した。
「…何でないの?」
「産まれて間もない頃、親に捨てられちまったらしい」
「え…」
本当は名前もない。
偶々通りがかった老人が拾ってくれて、『雷騎』と名付けてくれた。
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