陽だまりを失い、路頭に迷っていた響。
帰る家もなく、体力も衰えて空腹で倒れる。
そこに追い打ちをかけるように、雨が降り始めた。

「(……もう…いいや)」

何もかも嫌になり、生きる事さえ諦めてしまっていた。

『生きるのを諦めるなッ！！』

二年前のツヴァイウィングのライブで起こった事件で、天羽奏が重症を負った響に言った言葉。
それさえ、今となっては響の心を打ちのめしていた。
折れそうな心を持ってしてギリギリの所で踏ん張っていたが、いつか脆い鎖は千切れてしまう。

「(……いい…よね…？)」

疲労と睡魔、雨で重たくなった体が地面へと横たわる。
そこで響の意識は途切れた。




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