自身の家に帰って来たクリス。
しかしそこには、一人暮らしの家に灯りなどない筈なのだが…

「(……やっぱ慣れねぇな…)」

少し前から住み始めた人がいるのだ。
二課や学校から帰って来る度に見掛ける灯りに慣れない環境もあってか、クリスは戸惑う。
鍵を開けて家へと入る。
その際、自身の家にも関わらず、なぜかゆっくりと音を立てずに…だ。

「おかえり、クリス」
「あっ……」

しかし、それもすぐに無駄に終わってしまった。
リビングへと続く短い廊下の先から、顔をひょこっと出した雷騎と対面。

「今日は早かったね」
「あ…ん、まあ…な」

素っ気なく返事をするクリスに雷騎は何も言わない。

「夕飯出来てるし、風呂も沸いてるけど…どうする？」
「…先に食う」
「じゃあ、手を洗っておいで」

クリスが二課で"働いて"いて、なぜ雷騎は働いていないのか。
これはクリスの意見からだった。
クリス曰く…

『家に帰って来たら…いてほしい。あたしの…あったけぇ場所に、さ』

「だから雷騎は働かなくても、二課での給金で十分だろ？」とクリスはいうが、男としてどうなのか。
それもクリスに問うが、彼女は遠回しな言い方で雷騎をノイズの奇襲から避けていたのがわかった。
優しい雷騎の事だ、危険に身を冒してでも人を助けに行くだろう。
万が一、雷騎の身に何か起こってからでは遅い。




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