マリアの古い友達もあってか、暫く質問攻めにあっていたノア。
特に切歌と調からは、すぐになつかれて離れようとしなかった。
見かねたマリアが半（なかば）無理矢理引き剥がし、現在はマリアの部屋で休憩をとっている。
サングラスは既に取っているが、マスクはしたままである。

「以前から司令とは話してたんだよね。『特にマリアちゃんには黙ってて』って」
「…ノア、一ついいかしら？」
「何？」
「その『ちゃん』付けはやめてちょうだい。もう子供じゃないんだから」

いつまでも子供扱いされているようで、マリアは不満だった。
しかしマリアのそんな思いは知らず、ノアは。

「子供じゃないのはわかってるよ。だけど私よりも年下なのは、変わらないでしょ？」
「(年下…)」

埋まる事のない差。
フツフツと黒い"何か"が胸をザワつかせる。

「…マリアちゃん？」
「あと、何でマスクは取らないの？人前で話すのに失礼だと思わない？」
「あー……これは事情があって…」
「その事情というのは？」

マリアにしては珍しく、前へ出るとそれに伴ってノアは後ずさる。
するとベッドの縁に足が引っ掛かってしまい倒れ込んでしまうと、その上へ乗っかるようにしてノアを押さえ付けた。

「マ、マリアちゃん…！？」
「取らないと言うのなら、こっちから調べるまでよ」
「や、やめッ…！」

嫌がるノアの両手を片手で押さえ付けると、空いているもう片方の手でマスクに手をかけた。
暴れる足はマリアの足で挟まれて動けない。
訓練された装者と何もしてない職員とでは力の差は歴然。
ノアのマスクを外したマリアだったが、動きを止めた。




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