それから緒川の計らいもあって、マリアは心身の疲労による休養が必要と世に広めた。
活動は翼のみとなってしまったが、喜ばしい事だとむしろ祝ってくれた。
そしてマリアの夫となる男…雷騎は。

「ごめん…時期が悪かったよな」
「謝る事ないわ。仕方のない事よ」

ツアー最中での電話で知った雷騎は、マリアの元に行くのに日本を飛び出そうとした。
だが住み慣れた日本の地がいいとマリアが申し出た為、現在二人でいる。

「あの時は、マリアが戦いに行くって言うから…その…」
「全く…ウジウジしないではっきり言いなさい。男でしょう」
「……我慢出来ませんでした」
「…はぁ」

死ぬかもしれない戦いに出向く彼女に、S.O.N.G.の一員として雷騎が出来る事は祈る事だけだった。
雷騎がマリアと付き合っていたのは、F.I.S.の時からである。
長い分せめてこの気持ちをマリアに知ってほしいし、知りたい。
思いが爆発したのが、結果として今。

「(…ま、受け入れた私も私よね)」

ツアーが台無しとなったのは、何も雷騎一人の責任ではない。
マリアは"それ"も覚悟の上だった。




.