シェム・ハとの戦いが終わり、それぞれが新しい未来を歩み始めていた。
中でも歌姫である翼とマリアは各国でライブを行っている。
しかし、ある日を境にマリアは休養と称して暫く活動を控える事に。
それは…

「(…………まさか……)」

思い当たる節はいくつかあった。
柑橘類をよく食べるようになった事。
月のモノが三ヶ月程ない事。
だが…まさか本当なのか、と疑う。
おまけに悪阻（つわり）とくれば、それは小さな命が宿った証しとしか考えられなかった。
ホテルの洗面所に備え付けてある鏡の中の自身と見つめる。

「(や、やっぱり……あの時の…)」

思い出すのは彼と過ごした一夜。
お互い了承の上での行為とは言え、決戦前の限られた僅かな時間での結果である。

翼「マリア、いるのなら返事くらい……体調でも悪いのか？」

今後の打ち合わせにと隣の部屋にいた翼がマリアの部屋を訪れる。
しかし返事はなく、持っていたスペアキーを使って様子を伺おうと入って来たのだ。

「……翼」
「だ、大丈夫か？顔色があまり…」
「……た…」
「？」




「…できちゃった、みたいなの…」




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