与え、与えられる幸福(しあわせ)

「あ、お帰りマリア」

出掛けていたマリアがF.I.S.に戻って来る。
ある部屋には、マリアより歳が少し下であろう歌音が待っていた。

マ「ただいま歌音。…何、またじっとしてなかったの?」

何やら床で作業していた歌音を見て、思わず「またか」と溜め息が出てしまったマリア。

「いや、だって…ほっとけないっしょ」

歌音がしているのは裁縫だった。
生まれつきない左腕をものともせず、右手と行儀は悪いが口と足を使っている。
贅沢が出来ないここでは、最低限でもやれる事はやっておきたいのだ。

マ「体調はいいのね」
「まあね。寝込む前にやっておこうって思「貴女の場合は寝込むまでするでしょう!」…よくご存知で」

それは没収と言わんばかりに、マリアは裁縫一式を歌音から奪い取る。
丁度そこに…

切「マリアッ!お姉ちゃんが部屋にいない……って、いたデース!!」

姉がいない事に大声を上げながらやって来たのは、歌音の妹の切歌だった。
その後ろから、調が遅れて部屋に入って来る。




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