姉妹とは・後日談

一「…そうだな。いくら姉妹とはいえ、一声かけてから入るべきだったな……」
「うん…」
双「あ、あぅぅぅ……」
一「ま……まあ、気にするでない。双葉もそのような事をする歳になったのだという事だ」
「姉さん、それ追い打ちだから」

ますます小さくなっていく双葉。
穴があったら入りたいとはこの事だろう。
双葉はどもりながらも、二人に何処から見ていたのかと聞いても一葉は…

一「余は何も見なかった事にする故、安心せい」

と答え。

「…まあ、これはあたしら姉妹の秘密にしとけば問題ないんじゃない…かな?」

と葉月は言ったが、今の双葉が知りたいのはそれではない。
要は彼の名前を聞いたのかどうかで。
しかし一葉は面倒だと言いながら自ら将軍役を引き受けた事に、今度は葉月が驚いた。

「あたしじゃなくて?」
一「葉月も疲れておろう」

「疲れてはないんだけど」と言う前に、そんな二人を見つめる者が近くにいた。

双「……」

それを知ってか知らずか、次に一葉の口から出た言葉によって崩れた。

一「…だが、よりにもよって剣丞か……そうか…」
双「…っ!」
「って、何処から聞いて…!」
一「…葉月」
「あ…」

「何処から」と言ったという事は、つまりそれよりも前を知っていると言っているようなもの。
双葉は双葉で弁解を図ろうと必死に言葉を探すも、これ以上は墓穴を掘ると言われて黙ってしまった。

一「別に久遠や剣丞に告げ口したりはせぬ。姉を信じよ。行くぞ葉月」
「え、え!?」

半ば強引に葉月の手を引いて部屋を出る。
双葉の部屋を離れて暫く経った後、一葉は葉月と向き合った。

一「さて」
「な、何?」

何処か真剣な表情に何を言われるのかと構える葉月だったが。

一「まさか盗み聞きの趣味があったとは思わなんだ」
「違うから!」
一「違うのか。余よりもあの場に長くいたのだろう?」
「い、いたけど…あれは事故であって…!」
一「しかし、妹二人がこのように成長するとは…」
「って、聞いてる!?姉さん!!」

これはこれで誤解を解くのに時間が掛かったのは言うまでもない。




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