「で、今日も飲んでると」
美「何よ。文句ある？」

美空の自室を訪れた雷騎が目にしたもの。
縁側に座って月を見上げ、一人盃を手に飲んでいる美空の姿だった。
ほぼ毎日これでいて今の所、仕事に支障がないのが不思議なくらいだ。

「やめとけ。ホントに体壊すぞ」
美「うるさいわね。ほっといてよ」
「はぁ…」

溜息が出た雷騎は、美空の持っていた盃を奪い取った。
「あっ」と漏れた声から一変、美空はキッと睨み付けるようにして雷騎を見た。

美「返しなさい」
「返すかよ」
美「あんたねぇ…！」
「…なぁ、何で酒なんて飲むんだよ」

雷騎の手に持つ盃を奪い返そうと伸ばしていた美空の手が止まった。

美「…飲まないと苛々するのよ」
「だからって飲み過ぎ「だったら私はどうすればいいわけ？他に何か方法があるのかしら」…」

正直言ってない。
それでも雷騎は美空に体を壊してしまわないか心配なのだ。

「せめて量を少なくしろよ。早死にするぞ」
美「いいわよ、別に」
「…何だと？」

あっけらかんとした美空の言い方に雷騎は怒りを覚えた。

美「そうよ、いっそ死んでしまえば楽になるわ。何もしなくていいし、何も考えなくていい」




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