姉妹とは・後日談

双「お姉様の場合は、冗談と本気の区別が付かないのです」
一「何とも堅苦しい妹じゃて。して葉月、いつまで顔を赤らめておる?」
「だ、誰のせいだと思って…!」
一「ふふっ…可愛いのう」

着付けを終えて双葉に御髪おぐしを整えてもらっている間、葉月が出て行こうとすると何故か話相手としていろと言われた。

「双葉がいるでしょ」
一「何じゃ。妬いておるのか?」
「姉さんは一度痛い目に遭わないとわかんないかな」
双「葉月お姉様…」
「…嘘よ。例え本気だったとしても、姉さんにはかないっこない」

そんな会話をしていたら、幽が朝餉の仕度が出来たと言いにやって来た。
未だ一葉の長い髪を整えてもらっている間だけ、もう少し話をする。
最近味噌汁の味が変わったとか、双葉が恋をする年頃になったとか。

一「そう言えば、二人は知っておるか?葉月に縁談の話がきとる事を」
双「はい」
幽「存じておりまする」
「けど、あれは相手が将軍の地位に近付きたいからじゃない。姉さんが将軍で、その下のあたしならって考えでしょ」

そんな見え透いた相手の行動を真に受ける必要はない、ときっぱり断ってきた。
それを聞いた幽がわざとらしく溜息を吐いた。

幽「やれやれ。公方様も公方様ですが、葉月様の将来も心配でなりませんな」
「幽さーん。後でゆ~っくり話しようか」
幽「はっはっはっ。冗談に決まってるではありませんか」

そうは言っているものの、内心では色んな意味で心配している幽だったとか。




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