「一葉ぁー！遊びに来てやったぞ！」

いきなりスパァンッと勢いよく開け放たれた襖に、中にいた一部の者は肩を跳ね上がらせた。
それでも、やった本人はズカズカと遠慮なしに部屋に入り込む。
そして決まってこの者が一言。

一「帰れ阿呆」

中にいた一人、一葉が切って捨てた。
男はへこむどころか、寧（むし）ろニッと笑って見せる。

「はっはぁ！やっぱ一葉はそうでないとな！」
一「帰れと言うのが聞こえんのか阿呆」
「…おい」

さっきから一葉が言っているこの阿呆…ではなく、雷騎でも我慢の限界がある。

「一葉…俺の通称言ってみろや」
一「阿呆であろう？」
「んだと、このデコっぱち！」

「表出ろや！」と捲（まく）し立てる雷騎に、横から「まあまあ」と宥（なだ）める者が一人。

幽「雷騎殿、そうあまりカッカされては体が持ちませんぞ」
「よく言ってくれた幽！礼としてその乳揉ませ「一葉様、とことん叩きのめして下され」おおい！？」

雷騎の「揉ませろ」の言葉で全て台無しになった瞬間だった。
最も言い切る前に嫌な予感でもしたのか、幽は一葉の味方についたが。
無言で立ち上がった一葉に続いて雷騎も部屋を出た。
残されたのは幽と双葉のみ。

双「い、いきなりだったのでビックリしました…」

そう、雷騎が部屋に入った時に一番驚いていたのは双葉だった。

幽「でしょうな。さて…某も行かせてもらいます」

刀を使った仕合いを止めるのも大変だとぼやきながら、幽は二人の後を追った。




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