壬「雷騎様」

雷騎は現在、壬月と軽い手合わせをしていた。
そう、その仕合いは二人曰く"軽い"。
周りからすれば、何処をどう見ても決して"軽い"では済まされない激しさがある。

「何だ？」
壬「また力をつけられましたな」
「そりゃあ俺だって一人前の男だ。その辺の"なよい"男共と一緒にするなよ？」

ニヤリと笑みを浮かべても攻撃の手は緩めない。

壬「自意識過剰になるつもりはありませんが…私も力はつけてきた。なのに雷騎様には及ばない」
「壬月には壬月なりの良さがあるだろう。そう気を落とすな」
壬「…ありがたきお言葉」

暫く会話をしながら仕合いは続けられ、終わった後の雷騎は久遠のいる屋敷へ足を運んだ。
残された壬月の隣には麦穂がいた。

麦「また随分とお強くなられましたね、雷騎様」
壬「ああ。しかしあの強さ…私が後何年修行しても追い付かんだろうな」
麦「ふふ。本当はご自分を越えられた強さをお持ちの雷騎様と出会えた事に、喜びを感じておられるのでは？」
壬「うるさいぞ麦穂」




.