与えられた夢の先
「何探してるの?」
双「あ、柚葉」
幽が言った通り双葉は書斎にいた。
何かを探しているのか棚の一つ一つを確認していた。
「…手伝っていい?」
双「いいのですか?」
「うん」
双「じゃあ、お願いします」
少しして丁寧に探していく柚葉は、姉の視線に気付いて手を止める。
「…?」
双「柚葉はだいぶ変わられましたね」
「変わった?」
双「あ、でも変わったと言うより、前に戻りつつあると言ったほうが正しいでしょうか」
無口になったのは何年も前になる。
それがここの所だいぶ話すようになり、行動もするようになった。
また昔に戻れる。
そう思えただけで、双葉は素直にそれが嬉しかった。
双「これも剣丞様から通称を与えて下さってからですね」
「……"紅葉"は…もう」
手に持ったままの本に視線を落とす。
「…"いない"よ」
柚葉から本を受け取った双葉は「そうですね」と答えた。
双「柚葉、もしよかったら一緒にお料理しませんか?」
「したい」
双「実は、ひよさんところさんから尾張の味噌を貰ったので…」
「尾張の味噌…味噌汁……剣丞さんに?」
双「ふえっ!?」
柚葉から不意に剣丞の名が出て来た事で変な声をあげてしまった双葉。
それでも柚葉は続けて言った。
「いいよ。私も剣丞さんに食べてもらいたいから」
双「え!?あ、あの…柚葉…け、剣丞様の事…」
「?」
双葉の気持ちを知ってか知らずか、柚葉はただ純粋に食べてもらいたいだけのようだった。
NEXT:あとがき
双「あ、柚葉」
幽が言った通り双葉は書斎にいた。
何かを探しているのか棚の一つ一つを確認していた。
「…手伝っていい?」
双「いいのですか?」
「うん」
双「じゃあ、お願いします」
少しして丁寧に探していく柚葉は、姉の視線に気付いて手を止める。
「…?」
双「柚葉はだいぶ変わられましたね」
「変わった?」
双「あ、でも変わったと言うより、前に戻りつつあると言ったほうが正しいでしょうか」
無口になったのは何年も前になる。
それがここの所だいぶ話すようになり、行動もするようになった。
また昔に戻れる。
そう思えただけで、双葉は素直にそれが嬉しかった。
双「これも剣丞様から通称を与えて下さってからですね」
「……"紅葉"は…もう」
手に持ったままの本に視線を落とす。
「…"いない"よ」
柚葉から本を受け取った双葉は「そうですね」と答えた。
双「柚葉、もしよかったら一緒にお料理しませんか?」
「したい」
双「実は、ひよさんところさんから尾張の味噌を貰ったので…」
「尾張の味噌…味噌汁……剣丞さんに?」
双「ふえっ!?」
柚葉から不意に剣丞の名が出て来た事で変な声をあげてしまった双葉。
それでも柚葉は続けて言った。
「いいよ。私も剣丞さんに食べてもらいたいから」
双「え!?あ、あの…柚葉…け、剣丞様の事…」
「?」
双葉の気持ちを知ってか知らずか、柚葉はただ純粋に食べてもらいたいだけのようだった。
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