その名が君を変える

剣「……俺なら柚葉ゆずは…かな」
一「柚葉か」
久「剣丞にしてはなかなか良いな」
剣「俺にしてはって…どう?一葉」
一「……柚葉」
「…?」

自分の事をそう呼んだのかと首を傾げる妹に、一葉の表情が柔らかくなった。

一「今からお主の通称は柚葉だ。良い名であろう?」
剣「え、ちょっと待って!そんな簡単に決めていいの?」
一「簡単ではないぞ。余が良いと思ったからそうしたのだ。最も決めるのは本人だが」

一斉に視線が揃う。
当の本人は考える素振りを見せた後すぐに顔を上げた。

「えっと…足利柚葉、です。剣丞さん、新しい通称を与えて下さって、ありがとうございます」
剣「本当にいいの?」
「うん」
剣「…そっか」

これを機に紅葉改め柚葉は良い方向へと変わる事になるとは、この時まだ誰も知るよしもなかった。









(双葉姉)
双(紅葉、どうかしたのですか?)
ふるふる
(柚葉)
双(え?)
(新しい通称。紅葉じゃなくて柚葉だよ)
双(柚葉…とても素敵…!よかったですね)
(うん)




NEXT:あとがき
5/6ページ