その名が君を変える

久遠や剣丞達が京に着いて足利将軍…一葉と同盟と組んだ。
それぞれが解散した後、一葉は久遠と剣丞を呼び止めた。

一「そう言えば、二人には紹介したい者がおる」
剣「え?」
一「気付いておると思うが、先程から視線を感じるじゃろ」
久「敵意がないのはわかっていたが…」

双葉が将軍役をしていた時から感じていた気配。
それはずっと襖の向こう側からだった。

一「入れ」

そう一葉が言うも、その気配は動こうとしなかった。

一「…紅葉、こやつらは心配いらん。姉が保障する。入るがよい」
剣「姉って事は…」
久「双葉の他にもいたのか?」

驚く二人の前にようやく姿を現した紅葉と呼ばれた者。
まず目に入ったのは髪の色。
夕日よりも真っ赤に染まっており、それに栄えるように白が強調された着物を着ていた。
背は双葉よりも少し小さいくらいだろうか。

「……」
一「この者は余の妹であり、双葉の妹でもある。名は紅葉と言う。じゃが、わけあってあまり表沙汰には出来んのだ」
剣「わけ…?」
一「見ればわかるように、紅葉は名の通り髪が赤かろう?余ら姉妹のどちらでもない…つまり親の持つ色でもない」
久「養子か?足利の名に傷が付かぬよう…」

久遠の言葉に一葉は首を横に振った。

一「いいや、紅葉は実の妹。しかし髪が赤かったが故に異端視された」
剣「と言う事は…」
久「…」

ここから先は言わなくても、久遠には痛いくらいわかってしまった。
「大うつけ」と言われた昔、周りが自分を見る目が違ったあの時と。

一「…碌な扱いしかされて来んかった」

剣丞は息を飲んだ。




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