紡ぐ音
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「ホント…蜘蛛だけは昔から駄目なのね」
「うるさい!それは言うな!」
憎まれ口を叩きながらも、引っ張り起こした乃愛に小さく「…サンキュ」と礼を言う。
ふと乃愛は天音の右頬の絆創膏に目がいく。
それは幼い頃、乃愛の不注意で傷付けてしまったもの。
しかも傷跡として残ってしまう程の深い傷。
傷口が小さいとは言え、女の子の顔に傷痕を残してしまった自責。
それが乃愛に大きくのしかかった。
だが傷付けられた本人は至って明るく振る舞っていた。
自分に何が出来るのか。
彼女の為に何かしてやれる事はないのか。
悩んで悩んで、辿り着いた一つの答え。
『私が天音の力になる』
ライブを始めるようになってからは、その傷をあえて目立つ絆創膏を貼る事で彼女はファッションの一つだと言い張っている。
そんなものでいいのかと乃愛は思っていたが、そんな乃愛の思いを察してか天音は「気にすんなって」と言いながら乃愛の背中を叩いた。
今でもそのやり取りを覚えている。
「乃愛?」
「……」
返事をしない乃愛を心配して覗き込む。
ふざける時は思いっきりふざけて、遊ぶ時は命一杯遊ぶ。
そして、こういう時はちゃんと心配してくれる。
「…具合悪い?」
「……大丈夫」
そんな天音を乃愛は心の底から大切な親友だと言えるし誇れる。
何があっても。
「本当に大丈夫か~?」
「私が嘘言った事、今まであった?」
「…ないね」
今もそうだし、乃愛が過去に言った『力になる』事も。
天音は覚えてくれている。
天音が、その音を紡いでいてくれる限り。
二人の絆は消える事はない。
NEXT:あとがき
「うるさい!それは言うな!」
憎まれ口を叩きながらも、引っ張り起こした乃愛に小さく「…サンキュ」と礼を言う。
ふと乃愛は天音の右頬の絆創膏に目がいく。
それは幼い頃、乃愛の不注意で傷付けてしまったもの。
しかも傷跡として残ってしまう程の深い傷。
傷口が小さいとは言え、女の子の顔に傷痕を残してしまった自責。
それが乃愛に大きくのしかかった。
だが傷付けられた本人は至って明るく振る舞っていた。
自分に何が出来るのか。
彼女の為に何かしてやれる事はないのか。
悩んで悩んで、辿り着いた一つの答え。
『私が天音の力になる』
ライブを始めるようになってからは、その傷をあえて目立つ絆創膏を貼る事で彼女はファッションの一つだと言い張っている。
そんなものでいいのかと乃愛は思っていたが、そんな乃愛の思いを察してか天音は「気にすんなって」と言いながら乃愛の背中を叩いた。
今でもそのやり取りを覚えている。
「乃愛?」
「……」
返事をしない乃愛を心配して覗き込む。
ふざける時は思いっきりふざけて、遊ぶ時は命一杯遊ぶ。
そして、こういう時はちゃんと心配してくれる。
「…具合悪い?」
「……大丈夫」
そんな天音を乃愛は心の底から大切な親友だと言えるし誇れる。
何があっても。
「本当に大丈夫か~?」
「私が嘘言った事、今まであった?」
「…ないね」
今もそうだし、乃愛が過去に言った『力になる』事も。
天音は覚えてくれている。
天音が、その音を紡いでいてくれる限り。
二人の絆は消える事はない。
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