エ「お兄ちゃ～ん！」
「おいおい…」

幼い頃からそうだが、エリナはライキに会う度に抱き着いて来る。
これはレイナにも当て嵌まるのだが、些（いささ）か過剰なのだ。

「って…何をしている」

エリナはライキに抱き着いたまま、ライキの胸をゆっくりと指でなぞっていく。

エ「お姉ちゃんの胸の中もいいけど、お兄ちゃんのこの厚い胸板もいい…！」

恍惚とした顔。
いや、こういうのは…

「レイナだけにしてやれよ」

兄妹と言えど易々としていいものではない。

エ「え～！お兄ちゃんは嫌？エリナの事嫌い？」

寧ろ好きだ。
勿論兄妹として。
腹違いでも可愛い妹である事に違いはない。

「…嫌いなけないだろ」
エ「じゃあ、いいよね！」

再び胸に顔を埋めるエリナを見て、どうしてこう自分とクローデットとの差があるのだろうか。
それはエリナから見ればクローデットはライキと同じく腹違いの姉になるが、どうも無愛想な姉にしか見えないらしい。
当のクローデットはクローデットなりにエリナに愛情はあるのだが、身分が違う事もあって接し方がわからないのだとか。

兄弟、姉妹、同じヴァンス姓。

されど母親が違うだけで周りからの目の向け方が変わってくる。
そしてそれが自分達に影響が出てくる。
悪循環でしかなかった。




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