ﾘｵ「どうしたの？チップ」

肩に乗っていたフェレットのチップがいきなり走り出した。
リオはその場からチップの行く方向を見つめていると、柱の影から出て来た人の足元にすり寄る。

ﾘｵ「あ、すみません！お客様」
「いや、俺は大丈夫……って、リオか？」
ﾘｵ「…？」

足元にいるチップを抱き上げた人物はライキだった。
しかしリオは会ったばかりの人から自分の名前が出てきた事に不思議で仕方がなかった。

「リオ、俺を忘れたのか？小さい頃によく一緒に遊んだだろ」
ﾘｵ「…もしかして……お兄ちゃん？」

リオの問いに答えるかのように笑顔でライキは頷いた。

「久久し振り。暫く見ない間に立派なディーラーになって…髪も切ったんだ。短いのも似合ってるよ」

近付いたライキはリオの頭を撫でると、何かが吹っ切れたようにライキの胸に飛び込んだ。

ﾘｵ「お兄ちゃん！元気そうでよかった…！連絡ないから心配してたんだよ」
「ごめん。こっちの仕事が忙しくてな」
ﾘｵ「何の仕事してたの？」
「それは…」
？「リ、リオ！？何をして…」
ﾘｵ「あ、リナ」
「（リナだって？）」

現れたリナは目の前の光景に驚いた。
自分の異母姉が男に抱き着いていたのだから無理もない。
リオから離れたライキと目が合う。
その顔にリナはハッとする。

ﾘﾅ「に、兄さん…？」
「お、リナはすぐにわかったみたいだな。えらいえらい」
ﾘﾅ「え？ちょっと！？」

リオにした時と同じように撫でてきたライキに、リナは思わず身を引いてしまう。

「ああ、ごめん。嫌だったか？だけどリナって昔、俺の事『兄さん』って呼んでたか？」
ﾘﾅ「べ、別に思い出さなくてもいいじゃない…（それに嫌ではなくて…）」

違和感を覚えたライキは顎に手を添えて思い出していく。




『リオ、リナ。次は何して遊ぶ？』
ﾘｵ『次はこれ！』
ﾘﾅ『あ、リオずるい～！次はこっち！』
『わかった。じゃあ順番な。それでいいか？リナ』
ﾘﾅ『ライキお兄ちゃん……うん！』




「……確か『ライキお兄ちゃん』って」
ﾘﾅ「それ以上言わなくていいから！」
「お、おぅ…」

余程恥ずかしかったのか真っ赤になりながら怒ってきた。
しかし次のライキの言葉で更にリナの怒りを買う事になる。

「さっきの事と言い…リナ、お前のそれは所謂ツンデレじゃ…」




.