「そこ、またテンポが遅れてる」

流していた音楽を一時停止させる。
乃愛はれいな、しいな、みいなの振付師だ。
今巷で噂している雀ドルとなった三人。
しかし次の新曲の振付が上手くいかないようだった。

れ「乃愛さん無茶言わないで下さいよ…」

橙の髪をした少女れいな。
彼女はこのグループ【じゃんぴんガールズ】のリーダーで、麻雀の事になると超熱血になる。

「…だったら変える？あれで厳しいようなら一応、他あるし」
し「だ、大丈夫です！もう一度お願いします」

疲労が見えて長い水色の髪が項垂れているが、しいなは言う。
しいなは何にでも几帳面で、誰とでも敬語で話す。

み「うう…みぃは少し休憩したいですぅ…」

みいなはその場に座り込んでしまった。
彼女は語尾を伸ばすのが特徴だ。

「しょうがないなぁ…じゃあ10分休憩！」

この一言で張り詰めていた糸が切れたように、三人は大きな溜息を吐きながら休憩に入った。
乃愛は正直、三人はしっかり頑張っていると思っている。
休憩に入った今の時間まで長時間ぶっ通しで稽古していたのだ。
その間、誰も文句一つ言わないで乃愛の振付を早く覚えようと必死だった。
それにしても、雀ドルとか言う奇妙な大会に三人は出たもんだと乃愛は思っていた。

麻雀で勝った者だけがライブを行える。

それは麻雀がいくら強くても、歌唱力やダンスもそこに加わってくるのだ。
一筋縄ではいかない。




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