家に帰った乃愛は考えていた。
本当に自分は三人の為に作詞が出来るのか。
もし上手く出来上がらなかったら。
自分どころか、あの三人の評判が落ちてしまうのでは。
それだけは避けなくては。

「でも…アキが言ってたように、やっぱ無碍には出来ないか」

自分がどれだけ憎まれ口を叩いても長い間一緒にいた。
それこそアキだけじゃなく、リョーコやルカも幼馴染みと言ってもいい。
麻雀だって皆と打って来た。




ア『鳴く何て弱っちぃ事しねぇ』

リ『術中に嵌（はま）ったわね』

ル『ロン！もらったよ』




誰も譲る事なく強かった。
この四人の中では、もしかすると乃愛が一番弱いかもしれない。
勝てる事が少なかったから。
それでも共にいてくれて…助け合ってきた。

「…………よし」









ア「はあ！？もう出来ただぁ！？」
「煩いわね…耳元で大きな声出さないで」

耳鳴りがする、と乃愛は不機嫌な顔で答える。
それもその筈だ。
乃愛はあれから殆ど寝ずに作詞していたらしい。

ル「ほ、本当に出来たの？」
「正直言うと、細かな修正が必要な所はあるけど」

大まかになら出来上がった。
その言葉に三人は開いた口が塞がらなかった。

リ「…眠くないの？」
「眠いに決まってんでしょ。それよりも…早く練習してもらいたかったから」

一日でも早く仕上げると練習する時間が増える。
そうする事で少しでも三人には上手くなってもらいたい。
乃愛は一度決めるとすぐに行動する。
それが彼女達の為になるのなら。




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