二人で一つ
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「……十兵衛か」
「何だ。私だと悪いか」
小さくぼやいた筈なのに、それは目の前の人物に聞こえていたようだった。
「いや、悪くないけど…やっぱり違うんだなって思っただけで」
夜遅く、雷騎が道場の縁側で酒見をしていた時だった。
聞き慣れた足音に振り返ると十兵衛が立っていた。
始めはいつもの十兵衛だと思っていたが、よく見ると立ち姿といい目の色といい…違った。
彼女達は同一人物。
故に足音も同じ。
気付かなかった。
「まあ座れよ。お前なら飲めるだろ、酒」
「…貰おう」
ドカッと胡坐を掻いて座る。
その姿は男性にすればカッコイイが、女性である十兵衛がすれば何ともだらしない。
そう口に出せばこっちの身が危ないと感じた雷騎。
ここは黙って彼女に渡す杯に酒を注ぐが。
「貴様。今何を考えていた?」
否、口に出さずとも十兵衛にはお見通しだった。
ギラリと鋭い目が雷騎を貫かんと見ていた。
おまけに雷騎の首に愛刀の刀まであてがわれている。
「じ、十兵衛さん…?刀をしまってくれないと飲めないのですが…!?」
「安心しろ。雷騎が飲まずとも私が飲んでやる」
「(理不尽な…!)」
雷騎が注いだ杯を奪って口に付ける。
元々その杯は十兵衛に渡そうとしていた物だったので取られても問題はなかった。
だが遠慮を知らない彼女は飲み続けていく。
そして満足したのか、ある程度の酒がなくなった頃に雷騎を解放した。
「殆ど残ってねぇし…」
「中々の良い酒だ。それなりの値は張っただろう」
「…熟成期間が長めのやつだったからな」
少なくなってしまった残りの酒をチビチビと飲み始める雷騎。
十兵衛はその間、何も言わずにいた。
「……」
「…十兵衛」
「何だ」
「何があった」
いつもの十兵衛と違い、覚醒している今の十兵衛にしては少し様子がおかしかった。
ふっ…と軽く息を吐く十兵衛。
「今までの事を思い返していた。私はまだまだ力不足だと」
「…」
.
「何だ。私だと悪いか」
小さくぼやいた筈なのに、それは目の前の人物に聞こえていたようだった。
「いや、悪くないけど…やっぱり違うんだなって思っただけで」
夜遅く、雷騎が道場の縁側で酒見をしていた時だった。
聞き慣れた足音に振り返ると十兵衛が立っていた。
始めはいつもの十兵衛だと思っていたが、よく見ると立ち姿といい目の色といい…違った。
彼女達は同一人物。
故に足音も同じ。
気付かなかった。
「まあ座れよ。お前なら飲めるだろ、酒」
「…貰おう」
ドカッと胡坐を掻いて座る。
その姿は男性にすればカッコイイが、女性である十兵衛がすれば何ともだらしない。
そう口に出せばこっちの身が危ないと感じた雷騎。
ここは黙って彼女に渡す杯に酒を注ぐが。
「貴様。今何を考えていた?」
否、口に出さずとも十兵衛にはお見通しだった。
ギラリと鋭い目が雷騎を貫かんと見ていた。
おまけに雷騎の首に愛刀の刀まであてがわれている。
「じ、十兵衛さん…?刀をしまってくれないと飲めないのですが…!?」
「安心しろ。雷騎が飲まずとも私が飲んでやる」
「(理不尽な…!)」
雷騎が注いだ杯を奪って口に付ける。
元々その杯は十兵衛に渡そうとしていた物だったので取られても問題はなかった。
だが遠慮を知らない彼女は飲み続けていく。
そして満足したのか、ある程度の酒がなくなった頃に雷騎を解放した。
「殆ど残ってねぇし…」
「中々の良い酒だ。それなりの値は張っただろう」
「…熟成期間が長めのやつだったからな」
少なくなってしまった残りの酒をチビチビと飲み始める雷騎。
十兵衛はその間、何も言わずにいた。
「……」
「…十兵衛」
「何だ」
「何があった」
いつもの十兵衛と違い、覚醒している今の十兵衛にしては少し様子がおかしかった。
ふっ…と軽く息を吐く十兵衛。
「今までの事を思い返していた。私はまだまだ力不足だと」
「…」
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