「ヨシテル様…本当は、寂しいんですよね」
「…………」
「昔も…今も。ずっと…ずっと独りでやってきて…」
「……て」
「皆を…殺めてしまってからは…更に独りぼっちになって…」
「…やめて」
「……義昭様も「やめて下さい！！」」

ガンッ

「ぅあっ…！」

弟の名を聞いた瞬間、声を張り上げたヨシテルはノアの頭を鷲掴みにして壁に叩き付けた。
ノアは余程その衝撃が大きかったのか一瞬視界が真っ白になり、後頭部からドロリと何かが流れる感覚がする。
今のヨシテルは相手を威嚇するような強い目をしているが、どこか悲しみが混ざっているように見えた。

「……それ以上はノアとて許しませんよ」
「何で…逃げるんですかっ…」

ズキズキと痛む頭を掴まれたまま、ノアはヨシテルの指の間から未だボヤける視界で捉える。

「逃げる？私が？」
「そうやって現実から逃げて…どこに、行こうとしてるんですか！ヨシテル様ぁ！」
「……」

ノアの心からの叫び。
しかしヨシテルの表情は険しいまま。




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