知らぬが仏
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その人が街を巡回すれば、そこに住んでいる者ならば知らぬ人はいない。
白を基調とした鎧と陣羽織に、傷一つない肌とスラリとした長い脚。
そして太陽に照らされてより一層輝く長い金髪は、後ろで三編みにされている。
そう、この人こそ足利幕府十三代将軍・足利ヨシテル様である。
「はあ…どうしましょうか…」
しかし彼女をよく見ると、何故かその手には酒瓶一升が握られていた。
もう一度言おう、現在巡回中である。
たまたま街の酒蔵の前を通った時、店主が「今年一番の良い酒が出来たので是非!」と半ヨシテルに押し付ける形で渡してきた。
仕事をしている最中でもあり勿論断ったが、相手は聞いてもらえず渋々受け取ってあの嘆きだ。
そして仕方なく持ち帰る事にしたのだが…
「ただいま戻りました」
「おうヨシテル、おかえり……って、何で酒なんか持って…」
偶然庭にいた雷騎が初めにヨシテルを見つけたのはいい。
だがやはりと言ってもいいのが、酒瓶だった。
この男雷騎は、ミツヒデに次ぐ家臣の一人である。
しかし相手がヨシテルであっても敬語で話さないのは雷騎の性 なので、あのミツヒデでさえ呆れている。
「雷騎、言いたい事はわかります。ですがこれは「無理矢理押し付けられでもしたか」…はい」
ヨシテルの心中を察した雷騎。
そのヨシテルはどうも"押し"に弱いのだが、本人が気付いてはいないのは珠 に瑕 である。
「まあ折角だ。貰った物を無下には出来んし、今晩は月見酒でもするか?幸い天候はいいから、よく見えるぞ」
「ですが雷騎、私はお酒はあまり強く…」
「細かい事は言うな。ヨシテルは明日の予定は昼以降からだった筈だし、たまにはゆっくりしろよ」
将軍職は常に予定がぎっしりと積まれている。
それこそ、ゆっくりと出来る時間は半日もない程。
そんなヨシテルだが、珍しく明日の朝は予定が空いていたからこその雷騎の言葉。
ありがたく甘える事にした。
しかしこの時、ヨシテルの「酒はあまり強くない」発言を最後まで聞いておくべきだったと、後になってから雷騎は後悔する事になった。
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白を基調とした鎧と陣羽織に、傷一つない肌とスラリとした長い脚。
そして太陽に照らされてより一層輝く長い金髪は、後ろで三編みにされている。
そう、この人こそ足利幕府十三代将軍・足利ヨシテル様である。
「はあ…どうしましょうか…」
しかし彼女をよく見ると、何故かその手には酒瓶一升が握られていた。
もう一度言おう、現在巡回中である。
たまたま街の酒蔵の前を通った時、店主が「今年一番の良い酒が出来たので是非!」と半ヨシテルに押し付ける形で渡してきた。
仕事をしている最中でもあり勿論断ったが、相手は聞いてもらえず渋々受け取ってあの嘆きだ。
そして仕方なく持ち帰る事にしたのだが…
「ただいま戻りました」
「おうヨシテル、おかえり……って、何で酒なんか持って…」
偶然庭にいた雷騎が初めにヨシテルを見つけたのはいい。
だがやはりと言ってもいいのが、酒瓶だった。
この男雷騎は、ミツヒデに次ぐ家臣の一人である。
しかし相手がヨシテルであっても敬語で話さないのは雷騎の
「雷騎、言いたい事はわかります。ですがこれは「無理矢理押し付けられでもしたか」…はい」
ヨシテルの心中を察した雷騎。
そのヨシテルはどうも"押し"に弱いのだが、本人が気付いてはいないのは
「まあ折角だ。貰った物を無下には出来んし、今晩は月見酒でもするか?幸い天候はいいから、よく見えるぞ」
「ですが雷騎、私はお酒はあまり強く…」
「細かい事は言うな。ヨシテルは明日の予定は昼以降からだった筈だし、たまにはゆっくりしろよ」
将軍職は常に予定がぎっしりと積まれている。
それこそ、ゆっくりと出来る時間は半日もない程。
そんなヨシテルだが、珍しく明日の朝は予定が空いていたからこその雷騎の言葉。
ありがたく甘える事にした。
しかしこの時、ヨシテルの「酒はあまり強くない」発言を最後まで聞いておくべきだったと、後になってから雷騎は後悔する事になった。
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