「だったら動けよ。無理して動いて、付けられる力を付ける前に過労死でもするか？将軍とあろう者がそんな死に様を晒（さら）してまで」
「わ、私は…」
「死にもの狂いもいいけどな、結果それが身を破滅させる。それを覚えろ」
「……」

静まり返った部屋に重い空気が漂う。
小さく息を吐いた雷騎は。

「…言い過ぎたな」

「すまん」と言い残して雷騎は襖を開け、振り返る事もないまま言った。

「ヨシテル」
「…はい」

珍しくヨシテルを名前で言った事に、呼ばれた本人は失礼ながらも違和感を感じてしまった。




「…早く治せよ」
「…！」

先程とは打って代わった優しい口調。
音もなく閉められた襖が、どこか寂しく見えた。
それでも今のヨシテルには、それが心を落ち着かせる事が出来る要因となった。

「雷騎……ありがとうございます」




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