「うおっ！？な、何だぁ？」
「ん？ライキ殿、帰っておられたのですか」
「随分と早かったの」
「おう。今し方帰ったとこだ」

さっき会った少女の悲鳴に驚きながらも、ノブナガとミツヒデに帰還の報告を済ます。

「で、今の声は？」
「それは俺が知りたい」
「……」
「ミツヒデ？」
「あ、いや…少々騒がしい者がこちらに向かって来ていると思いまして」

音の元が何であろうかわかったミツヒデの眉間に皺が寄る。
そんなミツヒデの額を小突く。

「そんなにカッカするなよ。折角の可愛い顔が台無しになる」
「か、可愛いなど…！そんなご冗談…」

ドタドタドタッ

「いたっ！さっきの人！」

慌てて走って来たであろうヒデヨシは肩で息をしていた。
そんな登場に何故かミツヒデは更に苛々が増したように見えなくもなかった。

「よっ！また会ったな。教えた場所はわかったか？」
「何を教えた？」
「何ってかわ「ああああ！！こ、このお城の造りをちょっと！！」…と言う事」

本当の事を言ってしまえば、あのミツヒデだ。
一回で覚えろと言われた挙句、更には小言まで飛ぶだろう。

「あ、そうだ。えっと…」
「ライキだ」
「ライキさん、私は日出…じゃない、ヒデヨシって言います。あの、さっきの言葉が気になって」
「さっき………ああ、電気の事か？」
「それです！何でこの時代の方が電気って言葉を…」
「それについては話が長くなりそうだ。ノブナガ、ミツヒデ。こいつ借りてくわー」

半ば強引にヒデヨシの腕を掴んで、ライキは何処かへと連れて行く。
残された二人は溜息しか出なかった。

「やれやれ…あ奴は相変わらず自由じゃな」
「全くです。しかしライキ殿も疲労が溜まっておられるだろうに」
「何だ、妬いておるのか？」
「ち、違います！そのような事は決して……って、お館様？」
「くく…」

昔と違ってライキがこの城に来てから丸くなったミツヒデに、ノブナガはただ笑うだけだった。




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