ご立腹彼女

「………は…?」

あまりの動き辛さに目が覚めると縛られていた。
何でこんな事になってんの。
今までどうしてたっけ、と思考を巡らせてみるも思い出せない。
そこに闇の中から現れるようにして彼女がやってきた。

「…俺は何故縛られているんでしょうか、カシンさん」

普段はカシンと呼んでいるが、こんな状況では「さん」をつけてしまう。

「昨日は何処にいた?」

その言葉に、ツ…と背中に汗が流れるのがわかった。
バレれば色んな意味で身の危険を感じる。
…よし、ここは誤魔化して過ごそう。

「な、何の事で…」
「滅か…」
「だあぁああ待て待て待て待て!!わかった!!わかったから言うって!!」

こんな事で滅界なんてくらいたくない。
俺、まだ死にたくないし。
てか…やっぱバレてる?

「ではもう一度問おう。何処にいた?」
「お、尾張に行ってました…」
「…………」

怖い。
無言が異常に怖いです…!
ただ遊びに行ってただけなのに…

「その前は?」
「ええっと…」
「早く答えぬか」

長い爪で頬をグリグリしてくる。
あ~…痛い痛い…!

「…美濃です」
「ほう…それ程の行動力がありながら何故すぐに戻らんのだ」




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