華琳は執務室で真面目に仕事に取り組んでいた。
側には桂花がいる。
ふう…と華琳が一息吐く。
それに合わせて桂花がお茶を差し出す。

桂「お疲れ様です、華琳様」
華「ありがとう」

落ち着いた頃合いを見て、桂花は話を切り出す。

桂「あの…一つよろしいでしょうか？」
華「何かしら？」

華琳の為に新しい服を用意したので、是非一度袖を通して欲しい。
それを聞いた華琳は、もう一度湯呑に口を付ける。

華「そう…




そのお金は何処から出したのかしら？」




一瞬、桂花は息が詰まる。
乃愛と桂花が華琳に黙っていたのはこれだった。
お金の事になると何かと節約する面もある彼女。
だがそれは民の為、いざという時にいつでも使えるようにする為だ。
それを今回の場合、乃愛の私欲で使った事になる。
大金を使ったわけではないが無断で使った。
その事に華琳は腹を立てているのだ。

桂「き、気付いておられたのですか！？」
華「当たり前の事を聞かないでちょうだい」

「すみません…」と小さくなる桂花。
華琳はそんな桂花を睨み付けるのではなく、扉に視線を向ける。

華「貴方も、いつまでそこにいるつもり？さっさと入って来なさい」
「……やっぱわかるんだ」

そっと開かれた扉の先に立っていたのは乃愛。
手には事の原因となった服が綺麗に畳まれていた。

華「あら。私を誰だと思っているの」
「魏の国王様であり我らが覇王様でありますー」

反省の色がない乃愛に華琳は頭を抱えた。
しかし乃愛は重大さを理解していないわけではない。

「私が勝手に作ったんだから桂花は悪くないよ。だから責めないであげて」
桂「お姉様…」

使ったお金は今度の私の給料から多めに取ってもいいから。
そう言えば華琳は「よろしい」と言い、少しばかり機嫌は取れたようだ。

「そ・れ・に！」

だが、それはそれ、これはこれ、と切り替えの早い乃愛。
簡単には終わらせなかった。
畳まれていた服の襟近くを持ち上げて全体を見えるように広げる。




.