当時の乃愛は荀彧…桂花と言う人物を知らないのも無理はなかった。
だから知らなかったが故に「どうぞ」と答えてしまい今に至る。

「例の件なんだけど…」

こそっと小さな声で言う。
「例の…」と言えば、それだけで桂花は何を指しているのかがわかった。
取り出した紙には、乃愛が考えた服のデザインが描かれている。
因みに、この紙は乃愛の私物だったりする。

桂「凄い…これがもう出来たのですか？」
「まあ、殆どね。そこで一つお願いがあるんだけど…聞いてくれる？」

乃愛からのお願いとだけあって、すぐに「勿論です」と返ってきた。
小さく耳打ちして乃愛がこれからの予定を伝える。

「私が言うと怪しまれるからね。ここは一番近くにいる桂花が妥当だと思って」
桂「そうですね。それなら華琳様も…」
春「華琳様がどうしたと言うのだ？」

そこへ通りかかった春蘭が桂花の言った事が聞こえたらしく、二人に聞き返してきた。

「おはよう、春蘭」
春「うむ」

乃愛が挨拶をした横で、桂花は「あんたには関係ない」と突っぱねた。
しかしそれで引き下がる春蘭ではない。

春「いいや、確かに『華琳様』と聞こえた！お主ら何を考えているのだ」
桂「この地獄耳…あんたに言った所ですぐにバレるから意味がないのよ」
春「なんだとぅ！？」
桂「何よ！」
「もう二人共、声が大きい。聞こえてしまったんなら、この際聞いてもらおうよ」
桂「…お姉様がそう仰るなら」

これ以上騒がせたくないので乃愛は簡単に説明する。

春「さすが乃愛！話がわかるな！」
「…だから声が大きいってば」

華琳の事となると、目を輝かせながら何故か張り切る春蘭。

春「これで更なる華琳様の美しいお姿を拝見出来るのだな！」
乃愛＆桂「……」

しかし色んな意味で春蘭がバラしてしまわないか心配だ。




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