？「待ちやがれ！」
「っ…誰が待ってやるもんですか」

乃愛は必死に後ろから追いかけて来る男達から逃げている。
しかも三人。
何故逃げているのか。
それは乃愛が目覚めた場所に問題があった。









「…………は？」

何もない荒野のど真ん中。
しかも俯せだった所為か、顔には砂が付いてしまっている。
それを払い落として一度頭の中で整理してみるも、こんな所に来る要素は何一つなかった。
バイトから帰って来て、自分の部屋へ入ってからの先の記憶がポッカリと抜けている。
自分の名前、生年月日、生まれた場所などの自身についての事は覚えている。
とりあえず、いつまでも寝転がった状態は嫌なので起きる。
改めて周りを見るも、やはり知らない風景。

「……ここ、どこ？」

言った所で誰からも返事が返ってくる事などなかったが、変わりに乃愛を見つけた男達が寄って来た。









「（まさかこんな事になるとは思ってなかったわ…）」

乃愛を追いかけているのは、その時の男達だった。
三人は乃愛の着ている服が珍しいだの、この髪がどうだのと色々言っていたが、最終的には舌舐めずりしながら乃愛に近づいて来た為…




持ち前の運動神経を活かして相手を殴ったのだ。
反射的に。




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