これも運命
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愛「っ…雷騎様の、所為です」
ついには零れる涙。
これでは離れるに離れにくくなってしまった。
どうしたものかと頭を悩ませる。
そこに見知った顔が数人遠くから見えて来る。
鈴「お兄ちゃん、やっと見つけたのだ!」
桃「ま、まって鈴々ちゃん…早いよ…!」
翠「おい、お前ら!」
星「まあ待て翠。ここは見守ろうではないか」
鈴々に至っては走って来た勢いのまま雷騎に飛びついた。
少し遅れて桃香も到着し、その後ろには翠と星がいる。
桃「あ、れ…?愛紗ちゃん?」
鈴「はにゃ!?泣いてるのだ」
愛「な、泣いてなど…」
乱暴に涙を拭う愛紗。
雷騎は抱きかかえた鈴々から「お兄ちゃんが泣かせたのか?」と聞かれる。
「はて…これは我の責任になるのであろうか」
ここまで集まられたら言わないわけにもいかなくなったので、仕方なく全てを話した。
それぞれが愛紗と同じく、やはり止めようとしてきた。
こうなれば…
「鈴々よ」
鈴「何なのだ?」
「我の年を幾つだと思うておる。特に其方の年と我。幾年離れておると?」
兄と呼ぶより、おじさんと呼んでもおかしくはなかろう?
鈴「ん~…」
雷騎に言われて、腕を組んで考える仕草をする。
結果。
鈴「鈴々、難しい事はわからないけど…やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんなのだ」
無意味だった。
「……」
星「これでは雷騎殿の負けだな」
翠「いい加減諦めろよ」
桃「私も、雷騎さんにはまだまだいてもらいたいよ」
我のような者がいてもよいものか。
悩みに悩んだ。
もう少しだけ先延ばしにしようとも思ったが、結局は今回のような事を繰り返すだけだろう。
「…愛紗よ」
愛「…はい」
「先の言を取り消そうぞ」
愛「それでは…!」
愛紗の表情。
悲しみがそこにはなかった。
「仕方なかろう。ここまで言われれば我とて…」
鈴「やったのだ!」
桃「よかったぁ…」
翠「ったく。どれだけ心配したと思ってんだよ」
星「ふふ」
安心した皆に笑顔が戻る。
「其方らは、まだ我を…老体をこき使うと申すか」
愛「そうではありません。しかし我々には、まだまだ雷騎様の知識が必要なのです」
「…上手い事を言うではないか」
「はい?」と言った愛紗に「何でもない」とだけ返す。
結局雷騎はこの村に残る事になってしまったが、それでも嬉しいと思える事が一つだけあった。
「(…我も幸せ者であったか)」
愛「さあ、戻りましょう」
そして愛紗の手に引かれながら、再び村の中へと戻って行く。
NEXT:あとがき
ついには零れる涙。
これでは離れるに離れにくくなってしまった。
どうしたものかと頭を悩ませる。
そこに見知った顔が数人遠くから見えて来る。
鈴「お兄ちゃん、やっと見つけたのだ!」
桃「ま、まって鈴々ちゃん…早いよ…!」
翠「おい、お前ら!」
星「まあ待て翠。ここは見守ろうではないか」
鈴々に至っては走って来た勢いのまま雷騎に飛びついた。
少し遅れて桃香も到着し、その後ろには翠と星がいる。
桃「あ、れ…?愛紗ちゃん?」
鈴「はにゃ!?泣いてるのだ」
愛「な、泣いてなど…」
乱暴に涙を拭う愛紗。
雷騎は抱きかかえた鈴々から「お兄ちゃんが泣かせたのか?」と聞かれる。
「はて…これは我の責任になるのであろうか」
ここまで集まられたら言わないわけにもいかなくなったので、仕方なく全てを話した。
それぞれが愛紗と同じく、やはり止めようとしてきた。
こうなれば…
「鈴々よ」
鈴「何なのだ?」
「我の年を幾つだと思うておる。特に其方の年と我。幾年離れておると?」
兄と呼ぶより、おじさんと呼んでもおかしくはなかろう?
鈴「ん~…」
雷騎に言われて、腕を組んで考える仕草をする。
結果。
鈴「鈴々、難しい事はわからないけど…やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんなのだ」
無意味だった。
「……」
星「これでは雷騎殿の負けだな」
翠「いい加減諦めろよ」
桃「私も、雷騎さんにはまだまだいてもらいたいよ」
我のような者がいてもよいものか。
悩みに悩んだ。
もう少しだけ先延ばしにしようとも思ったが、結局は今回のような事を繰り返すだけだろう。
「…愛紗よ」
愛「…はい」
「先の言を取り消そうぞ」
愛「それでは…!」
愛紗の表情。
悲しみがそこにはなかった。
「仕方なかろう。ここまで言われれば我とて…」
鈴「やったのだ!」
桃「よかったぁ…」
翠「ったく。どれだけ心配したと思ってんだよ」
星「ふふ」
安心した皆に笑顔が戻る。
「其方らは、まだ我を…老体をこき使うと申すか」
愛「そうではありません。しかし我々には、まだまだ雷騎様の知識が必要なのです」
「…上手い事を言うではないか」
「はい?」と言った愛紗に「何でもない」とだけ返す。
結局雷騎はこの村に残る事になってしまったが、それでも嬉しいと思える事が一つだけあった。
「(…我も幸せ者であったか)」
愛「さあ、戻りましょう」
そして愛紗の手に引かれながら、再び村の中へと戻って行く。
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