夏侯三姉妹の事情

小さな子供に言い聞かせるように言う。
すると冬蘭は。

「だってさ、こうでもしてないと春姉と秋姉の妹でいられなくなる気がする」

今は戦乱の世とわかっている。
姉妹の関係を捨てるつもりはないが、これが唯一の繋がりだと信じている冬蘭。
仕事も勿論大事。
それをこなしていく中で、いかにどう自分が姉妹でいられているかを感じられなくなるのは…
そうなるのは嫌だ。

「……」
「けど、今回はやり過ぎた…かな。春姉に謝るよ」
「…そうだな。そうするといい」
「うん。じゃ、捜して来るよ」

私もこの後すぐに仕事するから、秋姉も仕事頑張って!
と言って春蘭を捜しに行く。
秋蘭は遠くなった冬蘭の背中を見て思った。

「私もまだまだ甘いな」

実の所、姉者よりもかもしれないと。









しかし翌日。

「冬蘭!!またかーーー!!」
「あ、ごめーん!手が滑っちゃった!」
「どうやったら私の腹に人の顔のようなものが出来上がると思ってる!?」
「やれやれ」

いつになっても変わらない姉妹であった。




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