「はっ！せぃあっ！」

朝起きるには少し早い時間帯。
そんな鍛練場に一人、剣を素振りしている姿があった。

「ふぁ～あ…ん、あれは…」

その様子を見つけたライキ。
素振りしている本人はまだ気付いていない。

ライキは元々起きるのが早い体質で、それを利用して朝の散歩をする。
しかしそれをカルラは面と向かって「おやじ臭いですわ」と言った。
その言葉に半ばキレたライキだったが、あのカルラに勝てる筈もなく瞬殺完敗。

今更ながらに思った事がある。
この女に力で勝つのが間違っていた、と。

しかし体質はそう簡単に変わるわけもなく現在散歩中だ。
そこで見つけたのが鍛練中のトウカだった。

「はぁあっ！」
「よっ、朝から気合が入ってんなトウカ」

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「…え、ライキ殿？」
「あ」

ライキが口を挟んだタイミングが悪かったのかトウカの持っていた剣がすっぽ抜けた。
天高く舞い上がった剣が落ちた先は、トウカの前髪を数本散らして地面に突き刺さる。

「……」
「…すまん。今のは俺が悪かった」
「また…某とした事が…」

彼女のうっかりも健在のようだ。

「（戦場でそのうっかりが出ない分まだマシか）」
「ライキ殿…某に何用で…？」
「あー…そ、そうそう！折角だし一戦勝負してみないかと思ってな」

見かけたから声をかけただけと言えば、自分の失敗を人に見られるのが嫌なトウカの事だ。
また落ち込むだろう。
この際、言い訳逃れも若干含んでいるが勝負してみる事にしたライキ。
確かにトウカの実力は凄い。
彼女は己の体に流れている血を誇りに思っている。
当然断るわけもなく。

「それはありがたい！是非お手合わせを」
「一度エヴェンクルガと戦ってみたかったんだ。よし、来いトウカ！」




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